2006年8月18日、高校2年生のときに投身自殺した高橋美桜子さん(享年16)。名古屋経済大学市邨中学校(名古屋市千種区)の在学中にいじめを受け、ショックから立ち直れなかった。
美桜子さんはカナダ人の父親と母・典子さんとの間に生まれた。一家はカナダで暮らしていたが、美桜子さんが1歳半のとき両親が離婚。4歳のときに日本に帰国した。典子さんは、美桜子さんが通っていた市邨学園が運営する短大で教員として働いていた。
'09年8月、いじめの対応が不十分として市邨学園や理事長、校長、担任、加害生徒、保護者を相手に損害賠償請求訴訟を起こした。'11年5月、次の内容がいじめと認定された。
仲間はずれにされた。「毛が濃い」「ニキビ」「反吐がでる」などと言われた。教科書やノートに「ウザい」「キモい」「死ね」と書かれた。靴の中に画びょうを貼りつけられた。ある生徒は「臭いから空気の入れ替えをする」などと言い、教室の窓を開けた。
いじめの後遺症としてのDIDや自殺との因果関係、さらに、自殺の予見可能性まで認めた画期的な判決だった。
しかし学園側は控訴。名古屋高裁はDIDといじめの因果関係は認めたものの、自殺との因果関係や予見可能性は認めなかった。
「いじめから自殺まで年月があったので、いじめだけが原因とは言い切れないとの判決だった。遺族は学校でのいじめをすべて見ていないが、裁判は証拠で決まる。それでもこの判決は重い」