NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』は“出版社編”に突入。楽しむツボを、キャストとスタッフに聞いた。
■覚醒する主人公といえば…!
「演じている高畑さん自身もですけど、常子という女性はとても賢い女性。戦前、戦中、戦後とヒロインの人生を描いていく中で、戦争が登場人物の心にどんな影をもたらすかということは、物語のターニングポイントだと思います」
こう語るのは五反田一郎役の及川光博。そのターニングポイントで出版社を立ち上げた常子を“ミッチー節”で、
「今は雑誌作りに入ってますが、多くの人との関わりの中で、常子が目覚めていく。激動の時代の中で覚醒するという点では、彼女は『機動戦士ガンダム』における、アムロ・レイなわけですよ(笑)。まさに“ニュータイプ”なんです」
■スタッフの遊び心に脱帽
モダンなスーツを着ていた五反田も、戦時中は国民服姿。演じていた及川光博は、
「ゲートルを巻いたり水筒を肩からかけたり。コスプレとしては楽しかったんですけど(笑)、個人的にはもうちょっとしゃれた男でいたかったですね。
国民服に“五反田一郎”と刺しゅうされてる名札には、ケガしたり亡くなったときのために連絡先などが書かれているんです。スタッフの遊び心なのか、そこに書かれた五反田の誕生日が、僕の誕生日(10月24日)になっているんです」
ちなみに常子は大正9年3月10日。これはモデルになった大橋鎭子さんの誕生日です!
■驚きの最新技術で電車も走る!?
「特に印象に残っているのは、戦後の闇市のシーンです。スタジオぜんぶに街を作り、現場はホコリもすごくて撮影の後は鼻の中が真っ黒になりました」
と、美子役の杉咲花。これまで『梅ちゃん先生』や『ごちそうさん』などにも戦後の街並みが登場したが、広大なロケ地にオープンセットを組んで撮影していた。今回はすべてスタジオ撮影だが、画面には空まで映っているから、カメラアングル的にも不自然さを感じさせない。
落合将チーフプロデューサーはこう説明する。
「合成技術や照明技術がかなり上がりまして、セットの中に屋外を作ることが可能になったんです。さすがに電車が走るシーンはCGの合成ですが(笑)、スタジオで電車のガード下を再現できたのもポイントですね」