松嶋が演じるヒロインの吉良奈津子は、広告代理店の元売れっ子クリエイティブディレクター。40歳手前で結婚。出産と育児休暇を経て、3年ぶりに職場復帰した。新たに配属されたのは、営業開発部だった。
部長を命じられたが、奈津子の希望はクリエイティブ局への復帰。それには業績不振の営業部で結果を出さなければならない。ところがそこにいたのは、奈津子を信頼していないクセ者ぞろいの部下たちだった。
「松嶋さんはいくつになっても変わらない清涼感のある女優さんです。強さと爽やかさの両方を持っているので、育休明けの悩みと女性管理職の悩みのどちらかひとつではなく、双方を背負わせたいと思いました。
奈津子には最悪の事態が次から次へと降りかかりますが、どんなドロドロの展開になっても、松嶋さんの清涼感が物語の救いになって、カタルシス(浄化)になると思います」
慣れない営業職だが、なんとか業績を上げようと懸命な奈津子。でも、仕事が忙しくなればなるほど家族への負担や不満が募り、家族や仕事の狭間で悩みが増えていく。
口うるさい姑(松原智恵子)の手を借りたくないのでベビーシッター(伊藤歩)を頼むが、彼女の存在が幸せな家庭を崩壊させていくきっかけに。会社では自信を打ち砕かれ挫折し、やがて夫(原田泰造)との間に大きな溝ができはじめ、家庭も危機に……。
「今後一層、奈津子には最悪の事態を用意しています。夫、子ども、仕事、何もかもを手にして、いわゆるバリキャリと言われるような彼女がそのすべてを失うかもしれません」