家族間と地域間の協力態勢が最重要
災害時に肝心なのは家族間の連絡である。山村さんは遠く離れた親戚や知人などを中継地点にして連絡を取り合うことをすすめる。
「災害時には被災地への携帯やスマホの通話が制限されますが、被災地から外への連絡は制限されません。普段から家族会議を行って連絡手段を決めておくべきです。“まったく連絡がつかなかったら、菩提寺の墓に伝言を残す”とか。そして家族各自がそのメモを常時持ち歩くのが大切」
神奈川県寒川町では自治体が「家族防災会議の日」を制定している。毎月第1日曜日がその日で、「身の回りの安全対策」「避難場所の確認」「非常持ち出し品の点検」などを話し合うようにしているのだ。
また、地域で助け合うネットワークづくりも大切だ。東京都昭島市では『互近助カード』が作られた。互いに近くで助け合うように、裏面には所属自治会や氏名とともに住民各自の番号が記載されていて、避難所で提示するとどこの誰が避難したかがひと目でわかるようになっている。さらに、その地域に互近助カード協力店を作り、カードを提示すると割引してくれる。地域の活性化にもつながりメリットがあるおかげで誰もが持つようになったのだ。山村さんが言う。
「ひとり暮らしの女性も安否確認をし合える友人やネットワークを持つことが大切です。災害に遭ったらまず自分が生き抜くこと、そして隣人を助けること。それが災害列島の作法です」
★非常時のトイレ問題はこうして乗り切ろう!
避難所で最も深刻な問題のひとつがトイレ。断水、下水管損壊時に用を足すには? 山村さんのイチオシ対策を紹介。手指消毒薬や予備のペーパーの備蓄も忘れずに!
<プロフィール>
◎山村武彦さん……防災・危機管理アドバイザーで「防災システム研究所」所長。現地調査250か所以上、防災講演は2000回以上行っている。『スマート防災』(ぎょうせい)ほか著書多数