勉強の相談をするうちに徐々に距離を縮めていった

 高校に通う息子が「スクールセクハラ」の被害を受けている──。母親が、学校側に相談をし、事態は発覚した。

 滋賀・守山市にある私立立命館守山高等学校の元国語教師・中川剛容疑者(29)が9月20日、県の青少年健全育成条例違反の疑いで、同県警大津署に逮捕された。

 同容疑者は、今年3月28日から4月2日までの間、2度にわたり草津市内にある容疑者宅で、教え子の男子生徒(当時17)に、18歳未満の青少年と知りながらわいせつ行為をした疑い。

 男性教師が女生徒にわいせつ行為を迫る。女性教師が男子生徒と不適切な関係を結ぶ。かつて「スクールセクハラ」といえば、そのような問題で占められていたが、最近増えているのが、男性教師による男子生徒に対するわいせつ行為。冒頭の滋賀のケースも、男子生徒が男性教師の犠牲になったものだ(*一部、不適切な表現がありましたので、文言を修正しました)。

 事態を知った県私学・大学振興課は、

「学校と被害者への聞き取りを行いましたが、お互いの意見が食い違っていました。現在は警察の捜査を待ち、事実関係をしっかりと把握した対応を考えたい」

 逮捕翌日、学校は午前中に全校集会で生徒に説明し、同日夜、保護者説明会を開いた。

「5月22日に中川容疑者の退職届を受理し、同日に退職をしました。教師としての資質は問題がないと判断しています」

 と同校の広報課は話すが、事実関係が明らかになるまで再発防止に着手することはなかった。

「現在、警察に情報提供を行い、捜査の結果を待っている段階です。結果を受けて、ほかに被害生徒がいるかどうかのアンケートを実施するか、考えていきたい」

 と同校広報課。続けて、

「学校側も相談窓口などを設けているが、校内で起こっているすべてのことを把握するのは難しい。被害者の母親から訴えがあってから、被害生徒に対しては学校側もしっかりとケアに努めてきました」

 だが、同校の副校長は被害生徒の母親に警察へ届けないように“彼のことを想うなら”などと口止めともとれるメールを送っていた。

「個人ベースで行ったことで、本人も軽率だったと反省しています。報道にあるとおりですが、一部を切り取られたもので、前後を含めたものを警察に提供しています」

 と同校広報課は話す。

 中川容疑者は2014年4月から約2年間、同校で教鞭をとり、バドミントン部の顧問も務めていた。被害生徒とは、勉強の相談をするうちに徐々に距離を縮めていったという。

 関係は次第にエスカレートし、自宅に呼ばれ、逆らうこともできず、なすがままにされてしまった。

「当校のホームページに掲載してあるとおりですが、非常に遺憾に思っております。今後に向けては学校全体で教育をしっかりと行い、再発防止に努めていきます」

 と同校の広報課は語ったが、中川容疑者の自分勝手な行為から、被害生徒が負った傷は深い。学校は生徒の心の傷にまでは気がつかなかったのか。

事件があった立命館守山高校では文化祭の準備がすすめられていた