「堤真一が何を言うてはるんですか! 好きだから! 憧れてるから! これ、評価じゃないですから。憧れるのは勝手ですから!」
意気込みすぎて、愛の告白みたいになってしまった。テレながらも気分をよくした堤は“怒り”の演技を語る。
「怒ったときってここに力入れて演技するじゃん? でも、本当に怒ってると、ここに力は入らんよな」
と、堤は首の付け根を触る。
「確かに、怒る演技では首にグッて力が入りますけど、実際に怒ったときってそれどころじゃないですよね」
溝端が感心すると、なぜか堤は隣に座る黒木の首根っこをむんずとつかんだ。
「ヤダヤダ痛い、大丈夫です、もう、やめて、いたーい!」
店内には黒木の叫び声が響き渡る。ベロベロ状態の堤は、もはやただの困った酔っ払いオジサンだ。溝端から再び娘のことを聞かれると、表情が和らいで笑顔に。
「めっちゃワガママやねん、ほんまに。こんなワガママ娘いねーぞ、オイ! って感じ。女房にもこんな感情抱かへんもん。今、俺が“踏まれてもいい”って思えるオンナは、娘ただひとりやね!」
それほど愛しているということなのだろう。
翌日娘と散歩する予定だと堤が話すと、松雪も「お弁当作らなきゃ」とつぶやく。すでに時刻は深夜3時過ぎ。飲んでいても息子を気にかける母の顔だ。話題はまた舞台のことに移り、堤はこの日から黒木の演技が変わったと指摘。「なんで変えたん?」と理由を聞いた。