「でも、30歳くらいで結婚して、80歳で死ぬまでの50年間、“夫だけを愛している”とか“SEXしたのは妻だけ”という人はどうなのかな? あまりにも教科書的だと思うんですよ。一生ある人を思い続ける人生は理想かもしれないけれど、それはほとんどの人ができないから、理想とされているんだと思いますよ」
桃子さんの同期には典型的な良妻賢母がいる。毎日の食事、教育など子育てを完璧に行ない、総合職として勤務しながら2人の娘を私立の名門小学校に入学させた。
ヨガやグリーンスムージーで外見を若々しく美しく保ち、官公庁に勤務する夫がおり、20代で港区にマンションを購入。その後、品川区と目黒区に投資用のマンションを2つ所有しているという。
「彼女を見ていると、スペック的には幸せだけれど、どうなのかな~と思う。憧れられているし、尊敬されているし、フラワーアレンジメント、ヨガ、歌舞伎、着付け、茶道などもやっているけれど、あまりにもファッション雑誌が推奨する人生みたいで……(笑)。少なくとも私には幸せだと思えません」
それは、同期の良妻賢母が人を支配するような行動に出ていることから感じたという。
「たとえば、部の飲み会があったとき、私は親や夫をアテンドして、たまには終電まで飲もうと思って参加すると、彼女が“私たちママチームは21時で帰りましょ”と誘ってくる。
私が断って飲んでいると“子どもが待っているんだから帰ってあげようよ”と追い打ちをかける。また、子どものよだれが付いた服に気がつかず出勤すると“ワーキングママがくたびれた格好をしていては、下の世代から憧れてもらえない”とか……私からすると、大きなお世話。
たぶん、不倫を嫌悪し、パートナー以外と恋愛している人を糾弾するのは、彼女のような人だと思うんですよ。きっと、世間から見られる自分を演出するあまり、自分が満たされていないから、他人のことを支配したり責めたりするのだと感じます」
結婚8年目に初めて……
そんな桃子さんが最初に、夫以外の男性と関係を持ったのは、結婚8年目のことだった。
「きっかけは、東日本大震災。それまでは私も、結婚したら別の男性と恋愛することに対するタブー感がありました。でもあの震災で、人間の命も、日常生活もカンタンに吹き飛んでしまうと思ったんです。それなら、自分がすべきことは最低限行って、それ以外は後悔がないように自由に生きようと思いました」