それでも安倍首相が諦められない解散・総選挙
今回の新潟県知事選の結果は、原発再稼働・原発輸出に積極的な安倍政権にどのような影響を与えるのか。全国紙の経済担当記者は「アベノミクス完全崩壊に向けた終わりの始まりになる」と指摘する。
「電力供給は火力発電に頼るしかなくなる。いまは原油安なのでどうにか安定供給できているが、原油価格が元の水準に戻るとコストを吸収しきれなくなるだろう。電気料金を上げざるをえなくなり、国内工場を持つ企業などの収益に悪影響をおよぼす。中小・零細企業をうるおすどころではなくなるおそれがある」(全国紙の経済担当記者)
前出の大谷氏は、今後の選挙戦に与える影響が大きいとみている。民進党は自主投票になり、投開票日直前になってようやく蓮舫代表が応援入りするなど存在感を示せなかった。しかし、野党3党が推薦した候補が与党候補に勝った事実は重いという。
「原発反対というひとつの争点で戦えば与党を負かせられることがはっきりしました。この新潟の記憶は簡単に消せないのではないか。民進党だけすんなり勝ち馬に乗れず、ギリギリ尻尾にぶら下がるようなみっともない乗り方をしたが、与党のダメージのほうが大きいでしょう」(大谷氏)
政局へはどう影響するか。年明けにも解散・総選挙があるのではないかという見方は消えていない。前出の浅川氏は次のように話す。
「何があろうと安倍首相の悲願は憲法改正です。永田町には解散風が吹き始めています。与党は議席を取りすぎていてこれ以上増える見込みはありませんが、選挙で任期が延びれば長期政権を築いてじっくり悲願達成を目指せる。来年2月にも解散・総選挙する可能性が高まっています」
新潟県知事選の結果を真摯に受け止める気持ちは、本当にあるのだろうか。