婚活アプリにはびこるデート商法
寂しくなければ、本気で結婚相手を探そうとはしない。身分証明のチェックが甘いパーティーやアプリではよく起こりうることだ。38歳の敦子さん(仮名)もそのひとり。
「婚活アプリで36歳の男性と知り合ったんです。リアルで会ったら写真のまんま、すごく素敵な人で、一目惚れでした」
1回目のデートで別れ際にハグされキス。2回目のデートでホテルに誘われた。
「ベッドの中で“運命を感じる”と耳元で囁かれてとろけそうになりました。2年近く婚活をしてきて“婚活疲れ”を起こしていたので、“これでやっと結婚できるかも”と」
服を着て、満たされた気分でソファに座っていた敦子さんの前に、彼がビジネスバッグから書類を出してきて言った。
「これからのことを考えたら、貯蓄型の保険に入っておいたほうがいいと思うんだ」
彼は、ある保険会社の営業マンだった。
「いきなり現実に引き戻されました。でも、ここで断ったら彼を失う気がして“家で考えるね”と持ち帰ったものの結局、契約してしまいました」
契約したとたんに彼とは連絡が取れなくなった。
「着信拒否されているのがショックだったし、これ以上、傷つくのが怖くて、その保険会社に電話もできなかった」
それから2週間後、その保険会社から彼が退職したという1枚のハガキが届いた。敦子さんは本当に退職したかどうかも確かめていない。彼との連絡が取れないまま、今でも毎月1万7800円の保険料が口座から引き落とされている。
婚活パーティーなどで、デート商法にひっかかる被害者は後を絶たない。マンション、宝石、着物など商品は高額だ。また騙す男性ほど女性慣れしていて言葉が巧みなのだ。