出川が繰り出す「最高の褒め言葉」
番組スタッフの名前をよく覚えてくれるのも、出川さんが人気がある理由の一つだ。普通、タレントが名前を覚えるのは一部のプロデューサーとディレクター程度。しかし、出川さんはAD(アシスタントディレクター)の名前まで覚えてくれるという。そして呼び捨てではなく「××君」と、ちゃんと「君付け」で呼ぶ。
自分の名前を初めて呼んでくれたタレントが出川さんというADも多い。そりゃあ、ファンになるのも当然だろう。
スタッフを喜ばせる発言は、番組中でも見ることができる。身体を張った過酷なロケで、出川さんがこう叫んでいるのを聞いたことはないだろうか。
「このスタッフ、頭おかしーよ!」
普通は頭がおかしいと言われたら悪口だが、バラエティー番組のスタッフにとっては最高の褒め言葉である。
「この番組、ヤバイよ!」
ドッキリにかけられた後によく口にするこのセリフも、やはり褒め言葉だ。
こうした気づかいが出川さんの計算によるものなのかどうなのかはわからない。だが、できることなら計算であってはほしくない。計算だったらがっかりだ。あくまで出川さんの人柄と人生経験から、自然と出てくるものであると思いたい。思わせてください。
52歳、芸能界ではすでにベテランの域に達しているにも関わらず、ここまでスタッフに気を使うタレントを、少なくとも僕は知らない。そこで今回、勝手に「最年長気づかいタレント賞」を差し上げ、勝手に表彰します。
将来、何かの間違いで紫綬褒章を授与されることになっても、今のまま変わらないでください。
【プロフィール】
◎山名宏和(やまな・ひろかず)
古舘プロジェクト所属。『行列のできる法律相談所』『ダウンタウンDX』『世界何だコレ!?ミステリー』といったバラエティー番組から、『ガイアの夜明け』『未来世紀ジパング』といった経済番組まで、よく言えば幅広く、よく言わなければ節操なく、放送作家として活動中。