「“恋愛映画”だと思って見てもらえれば」

東出昌大 撮影/高梨俊浩
東出昌大 撮影/高梨俊浩
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 撮影では棋譜(指し手を記録したもの)を覚えて、3時間にもおよぶ長回しの撮影に挑んだ。緊張感高まる死闘のシーンは、まるで“殺し合い”のようだったと振り返る。松山は役作りのため大幅に体重を増やしたというが、東出扮する羽生の姿もソックリと話題に。

「実はメガネもご本人のものを譲り受けたんです。初めてお会いしたときに、もし当時のメガネのブランドや特徴を覚えていたら教えてくださいって聞いたら、次にお会いしたときに“家にあったので、持ってきました”って。“うわ〜! これはちょっと……”と、いち羽生ファンとして最初はさすがに触れられなかったです。今は家の宝石箱というか、大事なカフスボタンが入っている箱の一番下の段に“鎮座”しています(笑)。

 いずれ羽生さんの記念館ができたときに、そういうところに所蔵されるべきものだと思うので、それまで大事にお預かりしておこうと思っています」

 将棋を題材にした映画ってなんとなく男性向けのイメージがあるけど、女性にはどう見てもらいたい? 

「この作品は“恋愛映画”だと思って見てもらえれば。松山さんいわく、僕はこの映画の中では“ヒロイン”なんです」

 羽生という存在に強いライバル心を燃やす一方で、強い憧れの思いも抱いていた村山。東出は、2人にしか理解しえぬ世界みたいなものが描かれていると話す。

「男同士のそれってすごいはかないけど、美しいものがあって。男2人の境地っていうのがこの映画には詰まっているので、僕は今回の作品は恋愛映画だと思ってるんです。将棋がわからない人にも絶対伝わるものがあると思います」