「選挙戦と違って、トランプ氏も軟化せざるをえない部分が出てくる。媚を売る必要なんてありません」
小泉純一郎元首相の在任当時、ブレーンとして支えた浅川氏は、'02年にブッシュ大統領が来日したときのことを振り返る。
「小泉氏は形式主義を徹底的に嫌う。どんなときも、オレはオレ、のスタイルを貫くんです。訪米したときはブッシュ大統領とキャッチボールし、ブッシュ氏の運転するカートでゴルフ場を回った。来日したときは、東京・西麻布の手打ちそばがおいしい居酒屋に誘いました」(浅川氏)
日米首脳が非公式の夕食を楽しんだのは西麻布『権八』だった。そばや串焼きが評判の店で、高級料理でもなんでもなかった。小泉元首相は常日ごろ銀座に出かけるよりも警備人員が少なくすむ麻布を選ぶことがあったという。
つまり、気を遣う相手が違うというわけ。浅川氏は「ところが安倍首相は……」と続け、'14年4月に来日したオバマ大統領を東京・銀座の高級寿司店『すきやばし次郎』でもてなしたことに触れる。安倍首相が選んだのはミシュラン三つ星の名店だった。
「どうして妙な格好をつけたがるのか。小泉氏以降の首相は独立国家のリーダーという自信に欠けている。とくに安倍首相は、祖父の岸信介元首相や大叔父の佐藤栄作元首相と同じように米国に迎合しがちです。
国会答弁でも米国の言い分にばかり理解を示している。もし、トランプ氏が来日することがあったとしても、別に高級寿司を振る舞う必要なんてありません」と浅川氏。
関係者の後日談によると、オバマ氏は寿司20貫をペロリと平らげ、中トロのおいしさにウインクしたという。
一方、トランプ氏の好きな食べ物は、ファストフードやベーコンエッグ、アイスクリームや炭酸飲料。さらにこれまでの言動を見る限り、被爆地の広島・長崎を平和アピールのため訪問することはなさそうだから、国民の血税で寿司をおごるなんてバカバカしいといえる。