恐ろしいことに、国民的な女優である飯島直子と自分を同じレベルに置いていたのです。思えば、窮乏するフランス国民に、「パンがないなら、お菓子をお食べ」と言い放ったマリーアントワネットくらいのズレ感。いかに人間は「自分を客観視することができないか」といういい例ですね。なんだか他人事のように言っていますが、このように“世間の評価と自己評価のズレで起こる悲劇”は、歴史上、後を絶ちません。そしてこのズレこそが、多くのアラフォー女性が結婚できない理由でもあるのです。
では、なぜこのような事実誤認が起こるのでしょうか。1つには、企業社会での市場価値と婚活市場での市場価値との間に、ギャップがあることがあげられます。
会社での価値と婚活市場での価値は違う
アラフォーで独身ということは、これまで一生懸命に仕事に打ち込んできた人がほとんどです。その結果、女性であっても管理職に就いていたり、大学で教授になっていたり、起業して数人の社員を抱えるようになっていたりと、ある程度の社会的地位を得ているわけです。
しかし、こうした社会的地位は、婚活ではまずプラスに機能しません。合コンで東大出身の女性がドン引きされるように、婚活市場において男性を脅かすような地位はむしろマイナスになります。アラフォー女性はそのことに気付かず、努力して手に入れた社会的地位を、婚活の場で“自分のウリ”としてアピールしてしまうため、肩透かしを食らうのです。
もちろん、社会的地位が飛びぬけて高い場合は別です。会社を上場させた女性起業家とか、ベストセラーを連発する人気作家とか。実際、私の知人は失業中に超売れっ子の漫画家と結婚し、そのおかげであっさり就職が決まりました。「離婚したら会社をクビになるから、奥さんを大事にしないと」としみじみ語っていた姿が印象的です。結婚しているだけで仕事が保障されるとは、非常にうらやましい話です。
このように、「結婚しているだけで男性の仕事のプラスになる」。これが、フレンチ女の条件なのです。
とはいえ、自分の市場価値はなかなか測れないものだと思います。そこでわかりやすい目安となるのが、「まじ? すげー」の法則です。婚活をしていた当時の私は、書籍編集者の傍ら、ビジネス本を出し、講演活動などもしていました。そのため、近所の人の間では「活躍していてすごいね」と言われていた。しかし、世間で知られる存在かというと全くそんなことはないわけです。簡単に言うと、「飯島直子と結婚したんだって」には、「まじ? すげー」と声が上がりますが、悲しいかな「高嶋ちほ子と結婚したんだって」に対しては、「よかったね」で終わり。つまり、結婚相手として周囲に「まじ? すげー」と言われるレベルでないと「フレンチ女」にはなれないということです。
では、「フレンチ女」にはなれないアラフォー女性はいったい何になれるのか。一番簡単なのは「中華料理女」になることです。ガツガツ働いて、どんどんお金を稼いでくる。男性のお金に対する不安を払しょくさせるので、非正規雇用者が増えている今の時代に需要は高い。実際、私の婚活時代を思い返してみても、私を「中華料理女」だと見込んで、生活力がない独身男性がアプローチしてくる例は結構ありました。