話をSさんに戻そう。結婚して7年。Sさんは専業主婦として過ごしていたが、1年半前に「夫婦関係がぶっ壊れた」という。「主人は私ほどには夫婦の絆を重視しておらず、子どもも欲っしていないことがわかったんです」。浮気の予兆もあったという。
Sさんは「心がぐちゃぐちゃになり」半年間、悩んだ。「いま思えばウツ寸前まで行きました。いや、正直ウツだったかも(笑)」。
そのときふと、早朝座禅に参加してみた。「初めは雑念ばかり浮かんで、夫や今後の生活の不安ばかり。弱ってるとき、座禅や瞑想はかえって良くないんじゃないかと思いました」
ところが通い続けて3か月後。
「夫や結婚に対する執着がスッとなくなった。あ、自分は『結婚』という学びを終えるステージに来たんだな、と悟ったんです」
Sさんは夫と離婚し、いまは結婚前にやっていた保母さんとして職場復帰。
「ほんとに心が切羽つまったときは、他人のアドバイスは役に立たない。自分の心の奥底を見つめ直し、立て直すために、座禅や瞑想をするんだと思います」
住職によれば、Sさんに「気づき」が訪れた3か月というのは「魔法の時間」だそう。
「座禅を3か月続けると、セロトニンという幸福ホルモンが脳内で分泌しやすくなる。それが不安や悩みを解消し、『気づき』のきっかけを与えてくれるんですね」
32歳のNさんは座禅を始めた理由を「とにかく仕事ができない自分をどうにかしたかった」と説明する。
「仕事の優先順位がつけられなくて、テンパリやすく、情緒不安定。上司にも怒られてばかりいました」
各種の自己啓発セミナーにも通ったが「なんか違うな」と思った。そこでNさんは座禅会に参加。「リラックスした集中状態に脳を持っていくのが座禅」という教えを聞き、「これだ!」と思った。
「リラックスばかりじゃ仕事にならない。集中ばかりじゃ社内ウツになる。『リラックスした集中状態』こそ私が求めていたものだと思ったんです」
2年以上、早朝座禅を続けているNさんに、どんな変化があったのか。