橋本「歴代の内親王よりも眞子さまや佳子さまはより活躍を求められていると思います。
今後はみなさまで分担が必要ですが、三笠宮さまも薨去されて、公務が集中します。内親王方の重要性が高まってきますが、ずっと結婚するなとは言えないですよね。
渡邉さんの著書にもありましたが、東京五輪の年には眞子さまは29歳、佳子さまが26歳。そのときに内親王としていらっしゃるかどうか。悠仁さまが結婚されるまで待つとしたら、おふたりとも中年になってしまいます。
今は皇族の人数がぎりぎりです。だから陛下のお気持ち発表は譲位だけではなく、そのような内親王や女性宮家のことも考えてほしいという意味もあったと思います」
─橋本さんの著書の中には、陛下の一般家庭への憧れも描写されている。
橋本「幼いときからご両親やご兄弟と離ればなれに育った陛下に、家庭や家族への憧れはあったと思います」
渡邉「その意味では、今回の著書で、橋本さんが学習院高等科時代に発禁処分となった小説『チャタレイ夫人の恋人』を陛下に貸した後の顛末は印象的でした。
さらに、陛下に一般家庭の正月を体験してもらいたくて当時、鎌倉にあった橋本さんの自宅に招待したことなど、“生身”の陛下の姿が伝わってきますね。
私は自分の担当していた番組でその場面を再現したかったのですが、鎌倉のお宅は取り壊しになったんですよね」
─次の天皇・皇后になる現在の皇太子ご夫妻について期待することは?
橋本「皇太子さま(56)が天皇になったときの公務は、おひとりで頑張り、雅子さまは皇太子さまのためにいい家庭を作り、回復に専念されたほうがいいかもしれません。
一方で以前『週刊女性』('14年7月29日号)で愛子さまが天皇になるべきという女性天皇について述べたことがありますが、その考えはまだ持っています。
女性という理由で皇位継承からはずれていますが、愛子さまが天皇になるのは不自然ではないと思います。悠仁さまご誕生でとりあえずはなくなりましたが、いずれ男子ではなく長子優先の議論が始まるかもしれません」
渡邉「美智子さまは陛下とおふたりで、日本での障害者スポーツの普及にゼロから携わり、青年海外協力隊にも第1回から激励し続けてこられました。戦争犠牲者の慰霊も次の世代に引き継がれています。
ご体調で難しいかもしれませんが、雅子さまが皇后になったら、美智子さまのそういうご努力を“お手本”にしていただきたいです」(完)
<対談者のプロフィール>
渡邉みどり(わたなべ・みどり)◎1934年、東京都生まれ。文化学園大学客員教授で、ジャーナリスト。日本テレビ在職中、昭和天皇崩御報道チーフプロデューサーに。
橋本明(はしもと・あきら)◎1933年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。学習院初等科から天皇陛下と同級で、現在まで親交がある。元共同通信記者で、社会部次長、ジュネーブ支局長などを歴任。