「うしろめたさがあったと思われても仕方がない」

 それを信じてもなお、ジャンパーの文言には疑問が残る。問題のある部分が意味の読み取れない略語か英語表記だからだ。突き詰めて質問した。

──「悪撲滅チーム」「不正受給はカス」となぜ日本語で表記しなかったのか。うしろめたさがあったのではないか。

そう思われても仕方ありません。そんな発想にも思い至っていなかったのが情けないかぎりです」(栢沼課長)

──チームの略称としては「SHAT」でなく、悪と撲滅を分けて「SHABT」のほうが自然ではないか。

「SHATと書いて『シャット』と読ませていた。SWAT(スワット=米国警察の特殊部隊)をまねたようです。撲滅の『B』を入れると読みにくくなってしまう」(同)

 これでは“警察ごっこ”と大差ない。左腕には識別番号とコードネームのような職員のあだ名まで入っていた。

 ジャンパー問題の発覚後、市が調査すると、「SHAT」のロゴが入った夏用ポロシャツやマウスパッド、マグカップなど関連グッズが出るわ出るわ……。詳しくは写真ページ(週刊女性PRIMEのサイト内)にまとめた。

「最初にジャンパーをつくった10年前は、職員が着用して受給者を家庭訪問するようなことはなかった。亡くなった独居老人宅の後片づけ作業などで着用していた。やがて文言の意味を伝えることなく、新たな職員にA4のプリントで機械的に購入希望を尋ねるようになり、『SHAT』がひとり歩きし始めてしまった。この問題が報道で指摘され、背中の英文を和訳してガク然としました」(栢沼課長)