初めて恋をしたことで自分の障がいに悩み、「普通になりたい」と苦しむ真白の姿は共感と感動を呼ぶ。『真白の恋』は、「なら国際映画祭2016」のインターナショナルコンペティション部門で約1700作品の中から観客賞を受賞。その後も「福井映画祭11th」で長編部門のグランプリを受賞するなど、多くの映画祭で賞を受け評価されている。
「映画祭では『真白の恋』を見た方がたくさんいらっしゃって。私が真白だとすぐわかったみたいで、泣いて握手を求めてくる方や、“思い出すと泣いちゃうんです”っておっしゃってくれる方もいました。こんな喜んでもらえたことってあるのかしらって、すごくびっくりしました」
撮影は大変だったが、佐藤自身に返ってくるものも大きかったという。
「今までお世話になった人全員にお知らせしたい! 出会った人全員に見てほしいと思ってるんです。一番最初に試写を見たときは、自分のお芝居のアラが目についてしまって客観的に見れなかったんです。十何回も見て、撮影から2年もたった今、私の中では真白さんは真白さんになりました。とっても共感できる知り合いみたいな感じで、普通にかわいらしいなって思えるんですね」
最近はCMやドラマなど、映像の世界でも活躍を広げている佐藤。また、ロバート・秋山竜次がさまざまなクリエイターになりきってインタビューを受けるYouTube動画『クリエイターズ・ファイル』の「天才子役・上杉みちくん」編に出演して注目を集めた。『真白の恋』でさらに女優としてステップアップした彼女の、今後の活躍が期待される。
「この役もこの映画に関わることも夢にも思っていなかったです。私が持っている才能があるとすれば、いろいろな作品ですとか、いろんな人に出会える才能があるってだけは自負していて。私が想像できないようなことも何でもやってみたいなと思うので、これからもたくさん出会えるといいなと。『真白の恋』をいろいろな方に見てほしいですね」
〈プロフィール〉
佐藤みゆき◎1984年生まれ。福島県出身。学生時代に知り合ったメンバーと劇団「こゆび侍」にて活動。上京後、学校栄養士の職に就くが、女優業を選択し3年で退職。本格始動から多くの観客の支持を得て、近年では大きな劇場での活躍も目覚ましい。テレビ出演作に、ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、NHK連続テレビ小説『花子とアン』など。
(取材・文/小新井知子 撮影/森田晃博)