三國さんにしてもらったように

 そんな体験からか、彼は息子である寛一郎とのプライベートの時間を大切にしてきた。自分の仕事場によく連れていったのもそのひとつ。自らも数回ながら三國さんに現場を見せられ、映画やドラマの“作品”としての魅力を知ったからだ。7年前には、雑誌の対談でこんな話をしていた。

《たとえば『仮面ライダー』とかの役者さんと「今度、一緒に仕事するから会わせてあげようか」と言うと「いいよ。だって、あの役をやってたのは役者さんでしょう。あの役じゃないでしょ?」っていうようになった(笑)。まさに僕が考えていたことを彼も感じるようになるもんなんですね》

 周囲には「息子に好きな仕事をやってほしい」と漏らしていたそうだが、何の因果か、寛一郎は自らの意思で俳優への道を選択した。海外への留学後、昨年秋に帰国してきて父に進路を打ち明けたという。

佐藤さんは三國さんと同じように、“そうか……”としか言わなかったそうですが、自分がその昔、三國さんに言われたときとは、まったく違う意味あいだったんでしょうね。

 クールに装っていたそうですが、内心はそうとう寛一郎さんのことが気になっているみたいです。自分と同じ道を歩むことに対しては、もちろん複雑な気持ちはあるんでしょうが、やっぱりどこかでうれしい気持ちもあるんでしょう」(前出・スポーツ紙記者)

 そんな父の心配をよそに、息子はというと、すでに次の仕事も決まっているそう。

「『心が叫びたがってるんだ。』という人気アニメの実写版映画が、今秋に公開されるのですが、主要キャストに名を連ねています。今月末には撮影がスタートしますよ」(映画ライター)

 父ならずとも、日本中のファンが気になる存在になりそうだ。