一方の『メルカリ』での売買実態に対しては、
「一般の商取引ではありえないものの売買までまかり通っている。現金やチャージされたSuica、領収書なんかがその最たる例。黒とはいえませんが、限りなく黒に近いグレーです。利用規約で禁止されているはずのクリーニング前の中古制服や医薬品などを見かけることもあります。犯罪の温床となり、違法売買の隠れ蓑にされてしまう可能性があるんです」
と前出・三上さんはバッサリ切り捨てる。
今回問題になった現金の売買は、例えば「3万円分の1万円札」が「3万6千円」と値付けされ売られていた。クレジットカードのキャッシング枠がなくなった人が、現金欲しさにショッピング枠で購入するのではと見られている。
『メルカリ』広報が説明する。
「一部のユーザーから2000円札や印字ミスなどがある現行貨幣について取引をしたい、と要望が上がり、今年2月14日に規約を変更し、現行貨幣の取引も可能にしました。しかし4月に入り4万円が4万5千円で取引されているなど、通常紙幣が額面以上の価格で取引されているのが発見されました。まったくの想定外です。これらはクレジットカードの現金化やマネーロンダリングにあたる恐れがあるとして、ただちに取引を中止しました」
冒頭の女性の場合、Amazonから返金されたため(最高30万円まで)、金銭的被害は免れたが、被った迷惑料、時間のロスなどについては補償されない。
Amazonは週刊女性の問い合わせに、「出品者様が合意いただいた出品規約を順守していない場合は、購入者様に代わってAmazonが早急に必要な措置を取らせていただきます」と回答を寄せると同時に「今般、さまざまな不正行為が横行しており、IT技術の進化とともに不正行為もより巧妙な手口になってきています」と、イタチごっこの苦渋をにじませている。
個人間売買のフリマサイトやオークションサイトのトラブルとなると、運営側はほとんど対応しないという。
国民生活センターは、
「多くのサイトの運営者は、あくまでも取引の場を提供しているというスタンスだからです。問題解決のためには当事者間での話し合いになります。些細なことでもいいので、トラブルにあったら消費者生活センターや消費者ホットラインに相談をしてください」
弁護士法人ALG&Associates東京本部の山室裕幸弁護士は、クレジットカードのショッピング枠を使った現金化について、「クレジットカードの会員規約で禁止されている行為。カードの利用停止、強制退会などの処分を受ける恐れがあります」と指摘。ネットに横行する詐欺まがいの行為について、
「裁判を起こすためには相手の特定が必要ですが、それが難しい。ダマし取られたお金の返済はまず無理です。個人情報も、抜き取られたら戻ってくることはありません」
ダマされたら泣き寝入りしかないのが現実。ただし、盗まれたデータを悪用されクレジットカードなどを使われたとしても、被害者に支払い義務が生じることはないという。
ワンクリックで、何でも手に入るネット取引。便利さの裏には、落とし穴がぽっかりと口をあけて待ち構えている。
前出・三上さんは「誰でも売り手にも買い手にもなれるぶん、リスクがあるということを考えてほしい」と注意を呼びかける。