こうしたなか、マクドネル氏は小学校に通う2人の子どもたちに対して「スクリーンタイム」を制限している。スクリーンタイムには、テレビ鑑賞やゲームだけでなく、タブレットやスマホ、パソコンを使う時間も含まれている。

 実は、米国のハイテク企業に勤める親が、子どもにこうした制限を設けるのは珍しいことではない。

ジョブズは子どもに利用制限を設けていた

 ニューヨーク・タイムズ紙の記者、ニック・ビルトン氏はかつて、スティーブ・ジョブズ氏に「あなたのお子さんはiPadが大好きなのでしょう?」と聞いたことがある。ジョブズ氏の答えはこうだった。

「私は子どもにiPadを使わせたことはありません。子どもたちが家でITテクノロジーに触れる時間を制限していますから」。

 米カイザー家族財団の調べによると、米国の子どもたちは2週間に50時間以上ハイテク機器の画面を見ているが、マクドネル家では、子どもがハイテク機器に触れられるのは、土曜日の場合、朝10時まで。これはハイテク機器が、本質的に害があるものだからではなく、子どもにはまだ「良い判断」を下す力がないので、ネットなどを使う際は親が管理する必要があるためだとしている。

 マクドネル氏に言わせれば、テクノロジーを無制限に使わせることは、子どもに中毒性のある行動に向かわせるようなものだ。同氏は子どもがアプリを使う際も、非営利団体コモン・センス・メディアによる調査を参考にしている。同団体は、子どもが使うテクノロジーの調査や啓蒙活動などを行っている。

 そのマクドネル氏もOKを出しているゲームのひとつが、スウェーデンのソフトウエア企業、Mojangが開発する「マインクラフト」だ(ちなみに最近マイクロソフトに25億ドルで買収された)。1億人以上の登録ユーザーを持つ、世界で最も売れたゲームを、ほとんどの親はレゴブロックのゲーム版と見ており、「教育にいい」と思っている。

 だが、神経科学者で、『Glow Kids: How Screen Addiction Is Hijacking Our Kids ― and How to Break the Trance(照らされる子どもたち:子どもを支配するスクリーン中毒と、子どもをそこから引き戻す方法)』著者であるニコラス・カルダラス氏はこれに異を唱える。彼に言わせれば、マインクラフトもまた、医学的、神経学的に中毒性が高いという。