■お金のかかり方はピンキリの施設
【4】経済的な余裕があったら「有料老人ホーム」
有料老人ホームは、“住宅型有料老人ホーム”“介護付き有料老人ホーム”“健康型有料老人ホーム”の3つに大きく分けられ、提供されるサービスには違いがある。ただし、健康型有料老人ホームは全体の1%以下。
◎〈住宅型〉介護対応はバラバラ
有料老人ホーム全体の6割程度を占めている。介護保険の“特定入居者生活介護(特定施設)”の指定を受けていないため、“介護付き”“ケア付き”とは謳(うた)えない。基本的には、食事のサービス、緊急時の対応などの日常生活の支援、レクリエーションを提供。基準が設けられていないため、介護への対応度はさまざま。
介護付き有料老人ホームと変わらない施設がある一方で、介護サービスがない施設も。その場合、要介護状態になった際には、自分で介護サービス事業者と契約する必要がある。要介護度が重くなったり、認知症になったりすると、退去せざるをえなくなることも。一方、手厚い介護を提供する施設では、オプション料金が高くつく。「初期費用0円、月10万円以内の安価なところもあれば、億単位の超高級なところもあります。費用、介護対応など、慎重に比較検討してください」(東京都高齢者福祉施設協議会会長・西岡修さん)。
◎〈介護付き〉施設が介護サービスを提供
都道府県から介護保険の“特定施設”の指定を受けている。食事や清掃がついているのはもちろん、介護サービスは24時間体制で施設(もしくは提携業者)の職員が行う。住宅型有料老人ホームとは異なり、介護にかかるサービスが介護保険の限度額を超えても、追加料金が発生することはない。
【5】有料老人ホームより低コスト「サービス付き高齢者向け住宅」
通称“サ高住”。主に民間業者が運営する高齢者向けの賃貸住宅。名前の響きから、介護付きの住宅と思いがちだが、“住宅型”と“介護型”ではサービス内容が大きく異なる。サ高住は、安否確認と生活相談サービスを提供することが義務づけられている。入居に際して一時金はいらないが、敷金が必要。およそ家賃の2か月~6か月分くらい。賃貸住宅と同じように、退去時に原状回復などの費用を差し引いて返還される。礼金、更新料はかからない。
◎〈住宅型〉介護は自分で! 居宅サービスを契約
「介護をしてくれる“施設”ではなく、“住宅”。基本的には自立している人や要介護度の軽い人が暮らす場所だと考えましょう」(太田さん)。多くは、オプション料金を払うことで、食事提供や家事支援などのサービスを受けられる。スタッフ(生活相談員)は昼間はいるが、夜間もいるとは限らない。敷地内に介護サービス事業者が入っているところが多く、介護が必要になったときは、個別に契約する。要介護度が重くなると住み続けられなくなる可能性もあるが、入居一時金を払っていないぶん退去の決断もしやすい。
◎〈介護型〉24時間介護が可能
介護付き有料老人ホーム同様に、都道府県から介護保険の“特定施設”の指定を受けている。「住宅型のサ高住とは別ものと考えていいです」(太田さん)。24時間体制で、介護サービスを受けることができる。介護費用は要介護度に応じた定額制なので、出費がふくれ上がる心配がない。ただ、施設によっては自由度が低く、外出制限がある場合も。