【6】認知症の高齢者向け「グループホーム」

 グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の高齢者が少人数グループで共同生活を送る施設。入浴・排せつ・食事などの介助や機能訓練、レクリエーションなどが受けられる。できる範囲で家事などにも参加し、その人の能力に応じた日常生活を営めるようにする。なお、グループホームは、その自治体に住民票がある人のみが利用可能。

【入れる人】要支援2、要介護1以上の認知症の人。施設のある自治体に住民票のある人【メリット】小規模施設なので家庭的な雰囲気【注意点】医療依存度が高い状態になると住み続けることが困難に【費用目安】★入居一時金(ごく一部):0~100万円 ★月額利用料:12万~18万円 ★所得に応じた軽減措置:自治体による

【7】低所得者向けの福祉施設「ケアハウス」

 ケアハウス(軽費老人ホーム)は、家庭環境や経済状況により自宅での生活が困難な高齢者のための住まい。自治体の助成を受けているため、低額料金で利用できる。食事や安否確認、レクリエーションなどを提供している。自立している人が対象の“一般型”は要介護になった場合は、外部事業者と契約する。“特定施設”の指定を受けているケアハウスは、24時間体制の介護を受けられる。

【入れる人】自宅での生活が困難な高齢者【メリット】所得の低い人も利用できる【注意点】待機者が多い。一般型は介護がついていない【費用目安】★入居一時金:0~数百万円 ★月額利用料:8万~20万円+介護費(一般型)、10万~30万円(特定施設) ★所得に応じた軽減措置あり

【8】公的な賃貸住宅「シルバーハウジング」

 高齢者向けの公的賃貸住宅。ひとり暮らしの高齢者や夫婦世帯が安心して暮らせるように、段差の解消、手すりや緊急通報システムなどが設置されている。既存の公営住宅やUR賃貸住宅の一部を改修しているところが多い。生活援助員(ライフサポートアドバイザー)が常駐し、日常の生活指導、安否確認、緊急時の連絡サービスなどを提供している。要介護になった場合は自分で介護サービスを手配する必要がある。

【入れる人】高齢者。夫婦での入居可(夫婦のどちらかが60歳以上)。障がい者やその配偶者【メリット】バリアフリーの賃貸住宅で、自由度の高い生活が送れる【注意点】介護サービスはついていない【費用目安】★敷金:0~数十万円 ★月額利用料:1万~10万円+介護費 ★収入に応じた軽減措置あり

<教えてくれた人>

太田差惠子さん
介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、FP。20年以上の取材活動の実績があり、遠距離介護、仕事と介護、お金と介護のパイオニア。近著に『親の介護で自滅しない選択』(日本経済新聞出版社)

田中元さん
介護福祉ジャーナリスト。出版社勤務を経てフリーに。高齢者の自立・介護などをテーマとした取材・執筆・編集活動を行っている。近著に『サービス付き高齢者向け住宅開設・運営ガイド』(自由国民社)

西岡修さん
特別養護老人ホーム『白十字ホーム』ホーム長、東京都高齢者福祉施設協議会会長、大正大学非常勤講師、NPO法人YWCAヒューマンサービスサポートセンター理事。近著に『家族に介護が必要な人がいます』(朝日新聞出版)

吉野槇一さん
日本医科大学リウマチ科の教授を経て、現在は名誉教授、社会福祉法人白十字会理事。『家族に介護が必要な人がいます』(朝日新聞出版)監修、『泣き笑い健康法』(中経出版)など著書多数