世は、ナンパ戦国時代。出会いのプラットホームの増加とともに、都会を中心に男女の出会い事情はカジュアル化している。その最たる東京の週末に、ナンパ最前線に立つ男性は何を考え、なぜナンパするのか。本企画では東京の週末の夜に一期一会の出会いを求める「ナンパ男子」の生態を深掘りしていく。

銀座・コリドー街編

 

 今回は、そんなナンパブームの火つけとなった銀座・コリドー街に生息するナンパ男子に迫る。

 コリドー街といえば、ナンパ文化の薄かった日本で、今やストリートナンパの聖地とされる都内屈指の出会いスポットだ。車通りが少ない高架沿いに有名なバー、レストランが立ち並ぶコリドー街は、ナンパ後にすぐに雰囲気のいい店になだれ込めることもあり、5年ほど前から特にナンパスポットとして知名度をあげてきた。

 今回、そんなコリドー街で声をかけてくれた男性は、銀座のラグジュアリー系・マンツーマンジムで働くインストラクター。ジムインストラクターらしい細マッチョなモテ体形。輪郭の通った顔に、切れ長のセクシーな目元は、なんとなく綾野剛のようなミステリアスさで魅力的だ。

 コリドー街を歩く男性は8割がスーツ姿のサラリーマンだが、職業柄なのか男性は細身のスキニーパンツに身体に合うサイズ感のパーカーをスタイリッシュに着こなしていた。

コリドー街の定石トークを楽しむ

 さっそく誘いに乗っかり、半個室の手羽先居酒屋へ。銀座のプライベートジムなんて、なんとも言えないなまめかしさを感じるが、仕事柄もありボディタッチに慣れている。さっそく腰まわりに手を回してくるあたり、さすがという感じだ

 今年27歳、男盛りな年齢と筋肉質な体形で、何人のセレブ客を虜(とりこ)にしてきたのだろうか。

 男性は職場が銀座ということもあり、仕事帰りにコリドー街でよく飲むのだそう。
ナンパはよくするのか尋ねると、

「カワイイ子いたらフツーに声かけるよ〜そりゃ!」

 ……イケメンの余裕が見えた瞬間である。

「でもまあ、ほぼノリだからね! ナンパっていうほど意気込んでないよ〜。いつも同僚の男と飲んでても飽きちゃうでしょ? せっかくなら女の子とも飲みたいし、って感じ」

 と、ナンパに対してもリベラルなひと言。フレンドリーで、了解もなくタメ口で話してくるあたりは接しやすい一方で、女性を勘違いさせやすそうな雰囲気もある。

「一個前の彼女はナンパした子だったけど、すぐ別の男をつくられてフラレたしね〜。今はフリー♪」

 コリドー街を楽しむ男性は、ほぼ全員が「フリー」と答える(歩いている女性も、だが)。今日で終わるかもしれない関係だからなのか、週末のコリドー街ではよく、

「彼氏(彼女)いるんでしょ?」

「いや、まじでフリーなんです〜」

「絶対ウソでしょ!!」

 などという会話があちらこちらから聞こえてくる。

イエガーショットでしょっちゅう泥酔?

 コリドー街でよく遊ぶ場所も聞いてみた。

「『スイッチバー』って知ってる? 今は銀座から恵比寿に移転になっちゃったんだけどね〜、そこ、イエガーショットが飲み放題だから安くめっちゃ酔えるんだよね! 泥酔するから、いつもよく覚えてないんだけどさ〜

 関西発のスタンディングバーである『スイッチバー』は、1杯300円という低単価でアルコールが楽しめるうえに、入店した全員がイエガー飲み放題になるというコスパのよさで、東京でもにわかに話題になっている。銀座店は恵比寿に移転したが、恵比寿でも相変わらず出会いのキースポットとなっているらしい

「今は安く飲める『銀座300BAR』によく行ってるよ」

 『銀座300BAR』は銀座にある日本最古のスタンディングバーだ。こうして今でもナンパ男子に愛されているのかと思うと、感慨深いものがある。