感染第2波を警戒する生活が続く中、日常の楽しみは戻りつつある。ストレス発散のため子どもを遊園地に連れていくとき、何に注意すればいいのか──。
“地蔵”で密集が発生しそう
「再開したら、中学生の娘はすぐに友達と行くと思うので心配です。あの混雑の中でソーシャルディスタンス(感染防止の社会的距離)を確保できるんでしょうか」
と千葉県浦安市に住む40代主婦は眉をひそめる。
新型コロナウイルスの感染拡大による遊園地への休業要請が全国各地でほぼ解除されたことを受け、東西の超人気テーマパークで対応がくっきり分かれた。
大阪市此花区の『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)』は、府内在住者に限定したプレオープンを経て6月19日からの段階的再開を決めた。
一方、千葉県浦安市の『東京ディズニーランド(TDL)』『東京ディズニーシー(TDS)』は県の休業要請が解除されたにもかかわらず、臨時休園を継続している。
最寄りのJR舞浜駅とTDL、TDSなどをつなぐ周回モノレール『ディズニーリゾートライン』は通常運行しているものの乗客はほとんどいない。再開を待ちきれないのか、熱心なマニアが駅ホームに降り立って遠目に“夢の国”を眺めるばかりだった。
東京・江戸川区の20代女性会社員は、「ディズニーの空気だけ吸いに来た。再開にあたっては、ショーやパレードの数時間前から動かないで場所取りをする“地蔵”で密集が発生しそうで怖い」と打ち明ける。
ファンならではの視点といえそうだが、TDLなどに限らず、遊園地再開にあたって気になる点はいくつもある。
まず、アトラクション(乗り物など)の順番待ちの列で注意すべきこと。家族や友人ら同行者とおしゃべりして時間をつぶしていいものか。
関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)は「行列でソーシャルディスタンスを確保させるのは運営側の責任」として次のように話す。
「どう並ばせるか決めるのは遊園地側。間隔を広めにとった列を整理しつつ、前の人が後ろの人に抜かされることのないよう気を配ってほしい。来園客が指示に従う環境をつくることが大事で、秩序が守られていれば同行者とおしゃべりするぐらいは問題ないでしょう」
東北大学病院・感染管理室の徳田浩一室長は、安全な列の間隔をわかりやすくするため、順路に目印のテープを貼っておくことをすすめる。
「並ぶ側からすると、早くアトラクションに乗りたいこともあり、どうしても前に詰めてしまいがちです。おしゃべりしていても、足元の目印は常に意識したい」
これからの季節、熱中症対策も必要という。
「並ぶ間隔をあけると順番待ちの列が長くなり、最後尾が日陰にならないところまで延びる可能性もある」(同)