大物俳優をワンポイント出演させる一方で、演劇界で有名な舞台俳優を大役に据えるなど例を見ない起用法が注目を集めている。その背景を取材してみると、納得の理由が見えてきて―。
『半沢直樹』(TBS系)が絶好調だ。国家を敵に回すというスケールの大きな『帝国航空編』もいよいよクライマックスを迎え、役者陣の演技合戦もますます白熱している。
「視聴率は毎回20%超えで、近年のドラマとしては驚異的な数字。'13年版は回が進むにつれて数字が上がっていき、最終回の平均視聴率は42・2%に達しました。これは平成の民放ドラマで堂々の1位です。今回の最終話でも、新しい記録を作るかもしれません」(テレビ誌ライター)
半沢直樹を演じる堺雅人と大和田暁を演じる香川照之が丁々発止のやりとりを繰り広げ、新しく加わった魅力的なカタキ役がさらに対決を盛り上げる。
インパクトのある役者陣
「新章では江口のりこさんが国土交通大臣、その右腕の弁護士を筒井道隆さんが演じています。どちらも今まで悪役のイメージがなかった役者だったので、その意外性が話題になりました」(スポーツ紙記者)
名だたる役者たちが強烈な演技で魅せるなか、新たに印象を残したのが、半沢を逆恨みして陥れようとした曾根崎雄也次長だ。
「ネットでは“あの俳優は誰?”と、注目を集めていましたが、あの方は佃典彦(つくだのりひこ)さんです。名古屋の小劇場を中心に活躍する舞台俳優さんで、地元の演劇好きの中では超有名人。でも、まさかあのドラマに起用されるとは思いませんでした。地元のファンは大喜びしていますよ!」(名古屋に住む演劇ファンの女性)
知る人ぞ知る俳優を起用する一方で、その逆をいくキャスティングも視聴者をザワつかせている。
「吉沢亮さんは、第3話に少しだけ出演しました。今年1月に放映されたスピンオフドラマ『狙われた半沢直樹のパスワード』では主役でしたが、今回は短時間の出演。'21年から始まる大河ドラマ『青天を衝け』で主演が決まっている旬の俳優ですから、もっと出してもいいのに……。ちょっともったいないですよね」(前出・テレビ誌ライター)
第6話に登場した宮野真守のセリフは「はい!」だけ。
「宮野さんは片岡愛之助さんが演じる黒崎駿一検査官の部下役でした。彼は人気アニメ『DEATH NOTE』では主人公の夜神月を演じています。歌手としても活動し写真集もバカ売れ。アイドル的な人気を博している“最強のイケメン声優”なのに、たったひと言しか声が聞けないとは……」(アニメファンの女性)
第7話には吉田羊が出演。
「吉田さんは'13年版にも半沢の妻が働いていたフラワーアレンジメントの仕事の先輩というチョイ役で出演。当時はまだ知名度が低かったんですが、'14年の月9ドラマ『HERO』での抜擢を機に数々の作品で主役を演じるようになりました。当時と違って大物なのに、今回も同じ役で出演したのはサプライズでした」(前出・テレビ誌ライター)