女優・多部未華子が『私の家政夫ナギサさん』(TBS系、以下わたナギ)で注目を集めている。本作は四ツ原フリコ氏による同名Web漫画を原作とした、家事と恋に不器用な28歳独身女性の「相原メイ」がおじさん家政夫を雇うことから巻き起こるハートフルラブコメディだ。
今期の民放ドラマは、2013年版の最終話で驚異の視聴率42.2%を叩き出した『半沢直樹』の続編や、『アンナチュラル』などを手がけた話題の脚本家・野木亜紀子による『MIU404』などの話題作が目白押し。その中で、“わたナギ”は『ドラマ満足度ランキング』(ORICON NEWS)で4週連続3位を獲得し、8月25日放送の第8話では平均視聴率16.7%と好成績を収めている。
その理由のひとつには、原作を大きくアレンジしながら、働く女性に寄り添った脚本になっていることもあるだろう。また大森南朋や瀬戸康史、眞栄田郷敦といった設定の違う王子さまが、女性心をくすぐっているのも本作の魅力だ。
しかし、“わたナギ”ヒットの要因は主演を務める多部未華子の「特性」ではないだろうか。数多くの女優のなかでも彼女だけがもっている、その特性が最大限発揮されているところが大きいのだ。
多部未華子ならではの演技
彼女の経歴を振り返ってみると、これまでに『デカワンコ』や『ヤスコとケンジ』(ともに日本テレビ系)、『これは経費では落ちません!』(NHK総合)など、いずれも漫画を原作とした作品への出演が目立つ。
特筆すべきは、主演を務めた2010年公開の映画『君に届け』だ。原作が累計3300万部を記録するほどの人気作なだけに、実写化決定の際は物議を醸すことに。しかしながら、純粋で不器用なヒロインを務めた多部未華子の等身大の演技は、原作ファンからも好評を得ることに成功した。
相手役を務めた三浦春馬さんとのコンビを支持する声も多く、2人はその後もドラマ『僕のいた時間』(フジテレビ系)、映画『アイネクライネナハトムジーク』でもタッグを組んでいる。
なぜ彼女は漫画を実写化した作品に起用され、熱心な原作ファンを納得させることができるのか──。