長引くコロナ禍で、景気の悪化をひしひしと感じるこの秋。高い内閣支持率でスタートを切った菅義偉政権の下、私たちの暮らしはどうなっていくのだろう?
経済アナリストの森永卓郎さんは「菅政権では、景気はもっとひどくなるでしょう」と、ズバリ断言する。そもそもコロナ禍の前から経済状況はよくなかったという。
「アベノミクスも最初はうまくいっていたんです。金融緩和で世の中に出回るお金が増えて、株価は上がり、非正規が多いとはいえ働き口も増えました。でも、目指していたデフレの解消は果たせなかった。特にまずかったのが消費税の増税です」
確かに、2度の増税は痛かった! 財布のひもも固くなったし。
「みんなが節約モードになってデフレ再突入の様相になり、企業は給料をさらに抑えるように。物価と収入の関係を表す実質賃金でいうと、安倍政権下で1割も下がってしまったのです」
森永さんは、菅政権の経済政策“スガノミクス”によって、「大増税が庶民の家計を襲う」と予測する。
「安倍さんは景気重視で経産省出身の秘書官を重用していましたが、その安倍さんがいなくなれば、財務省が本来の力を発揮してくるでしょう。コロナ対策として財政出動した57兆円を取り戻すため、財務省は増税してくると思いますよ。それでいて菅さんは安倍政治を継承しているので、財界や大企業べったりなところは前政権と変わらない。震災後の復興所得税のように所得税を増やすか、消費税を上げて、庶民に大きな負担をかけてくるのでは?」
そんなことをされたら、ますます物を買う気が失(う)せて、倒産も続出しちゃうのでは?
「そうなれば、ますます賃金は下がり景気は悪化、日本は長期衰退期に入るでしょう。日本の平均所得は2000年ごろは主要先進国の中でもトップでしたが、この先10年しないうちに韓国に抜かれ、20年しないうちに中国にも抜かれるでしょう。先進国グループからまっしぐらに落ちていき、“年収200万円時代”が現実になるわけです。これを防ぐには、消費税をなくすしかないでしょうね」
森永さんの掲げる対策とは裏腹に、菅首相は自民党総裁選への立候補後、“いずれ消費税は上げざるをえない”などと口にしていた……。