感染者数の爆増で新たな局面を迎えている新型コロナ感染症。国内のワクチン接種回数はファイザー製5843万9259回、モデルナ製181万8033回(7月11日時点)で、7月26日からは「ワクチンパスポート」の申請発行もスタートした。

ファイザー製​よりモデルナ製の
死亡報告が少ないのはなぜ?

 一方、厚労省の専門部会による7月21日の発表では、国内でのワクチン接種後の死亡報告がファイザー製746件(100万回あたり11・3件)、モデルナ製5件(100万回あたり2・2件)、計751件と死亡事例も増加している。比較するとファイザー製のほうが危険に思える。

「モデルナ製の死亡報告が少ないのは、接種開始が遅く規模が小さいからで、両者のワクチンに違いはほぼないといえます」

 そう教えてくれたのは、医療ジャーナリストの村上和巳さん。実際、ワクチン接種が進んでいる米国のデータでは両者のワクチン接種後の死亡率を比較すると、ほぼ同率だ。モデルナ製の事例を除いた746件の報告内容をもとに、各項目を週刊女性が独自に統計したのが左ページのデータである。

 まず、死亡者の男女別の件数は男性が379件、女性が364件とほぼ同数。死亡率は高いように思えるが。

「今回のmRNAワクチンというのは、まったく新しい仕組みのワクチン。実際には因果関係がなさそうな死亡事例でも、念のため報告しておこうという医師の慎重な姿勢が数字に反映されているのでしょう。調査の過程で起こる数値の偏り、いわゆる“報告バイアス”も考慮するべきです」(村上さん、以下同)

既往歴で男女ともに
圧倒的に多いのが「高血圧」

 年齢別の死亡者数では、そのほとんどが70代以上の高齢者。高齢者の間でワクチン接種が進んでいることとの因果関係が気になる。

「80代が最も多く、次いで90代、70代というデータは、日本の年齢別死亡件数全体を見たときの形とほぼ重なります。死亡のタイミングがワクチンの接種と偶然重なったと考えるのが妥当です」

 接種から死亡までの日数を見ると、そのほとんどが接種から1週間以内に集中。これもワクチン接種の影響があると考えられるのでは?

「前述の“報告バイアス”を考慮すると、接種直後の死亡事例はとにかくあれもこれも報告しておくべきと現場で判断されているのでしょう」

 死因の内訳では「不明」が極端に多いことも、不安を感じる理由かもしれない。

「基礎疾患を抱えがちな高齢者の死因は複合的で断定するのが難しい。例えば、くも膜下出血や腎不全など多くの症状を併発して死亡した場合、どれが直接の死因か特定ができず、不明に分類されることも想定されます」

 死亡者の基礎疾患および既往歴では、男女ともに圧倒的に多いのが「高血圧」だった。常用薬のデータでも「血液をサラサラにする薬」である抗血栓薬や、高血圧治療薬を飲んでいた人が格段に多い。高血圧患者のワクチン接種は危険といえるのではないか。

「今回の死亡事例はいずれもなんらかの基礎疾患があるケースが多いため、抗血栓薬などを服用していた事例も多いです。ただし、厚労省の専門部会によると、これらの薬が直接ワクチンと作用して死亡の要因となったわけではないとされています」

 とはいえ、5月27日に血小板減少症およびくも膜下出血で死亡した女性の事例に対しては「ワクチンが誘因になった可能性は否定できない」という専門部会のコメントも出ている。ワクチンに不安がある人ほど、さまざまな情報を集め、ワクチン接種の安全性について注視していくべきだ。