1年半以上も続くコロナ禍。この前例のないパンデミック下で、もし大切な人が亡くなったらどうするか、はたして式は執り行っていいものか──。実際のところ、コロナ禍におけるお葬式事情はどうなっているのだろう?
減り続けている従来の一般葬
「昨年からコロナで葬儀の在り方が変わり、さらに今年から新たな変化が起こっています」と話すのは、『クローバーグループ 小金井祭典』代表の是枝嗣人さん。
「いちばんの顕著な変化は、葬儀に参列する、いわゆる会葬者の減少。世の高齢化により、ここ20年、会葬者数は減り続けていたが、コロナ禍で拍車がかかり、今年に入ってからさらに加速した感があります」(是枝さん)
各地から多くの人が集い、会食を伴う葬儀は感染のリスクも高い。今年の1月、熊本で16人が感染するという“葬儀クラスター”が発生した事例も報告され、その事実は参列の自粛という風潮を生んだ。何より葬儀から人々の足が遠のいた背景に、東京=コロナのスポットという意識が地方に根強くあると是枝さんは言う。
「東京から息子さんが帰省したらお母様がデイケアを2週間受けられなくなった、東京へ行った会社員の方が2週間の在宅勤務を強いられたなど、当初は東京の人間と会ったというだけで濃厚接触者扱いされてしまう事例もありました。そうなるとやはり参列は避けざるをえなくなる」
会葬者の減少は葬儀の規模の縮小につながり、式の主流は家族や親族間の簡素な様式へと移行した。日本最大級の葬儀相談・依頼サイト『いい葬儀』でお客様センターのマネージャーを務める久保田衛さんは、顧客の声からその変化をリアルに感じていると話す。
「お問い合わせで多いのが、この状況下で人を集めていいか、葬儀をしていいかという声。コロナが始まってからやはり人が多く集まる一般葬を行う方は減り、そのぶん家族葬や1日葬が増加しています」
'15年には一般葬が約60%、家族葬や1日葬が約30%の割合で執り行われていたが、昨年ではその割合がそれぞれ50%ずつとなっている。
葬儀の様式は主に4種で、人を招いて葬儀と告別式を行う一般葬、身内や親族で式を行う家族葬、葬儀・告別式を1日で行う1日葬、通夜や告別式を行わない直葬・火葬式に分けられる。
様式の違いは当然費用にも反映され、飲食、返礼品を含んで一般葬は約240万円、家族葬で通夜告別式を行う場合は約140万円、1日葬は約130万円、直葬・火葬式になると約80万円(いい葬儀調べ)と、その差は大きい。