ここ最近、エキゾチックアニマルを取り上げる番組が増えてきている。番組の内容はおおむねSNSやネットでかわいいと評判、というもの。しかし、このブームを動物の専門家たちは非常に危惧している。実は密輸された動物であったり、飼育環境が整っていなかったら……。かわいい、だけでは許されない。
専門家は次々と問題を指摘
ラーメン、子どもと並び、視聴率が取れる3大要素の1つである動物。昨今は犬・猫、家畜などを除いた特殊な動物“エキゾチックアニマル”が取り上げられることが多い。内容は、そのかわいらしさによる、SNSのフォロワー数や“イイネ”、再生回数の多さを伝えるものだ。しかしそこでは伝えられていない問題が多々ある。まずは“密輸”だ。
「種の保存の観点から、ワシントン条約によって輸入規制がとられている動物がいます。輸入に必要な書類が伴わず、日本の税関で差し止められた数は、'07年から'18年の間で1161頭。規制対象となる動物を輸入する際には、輸出国の政府が発行する許可などを取らなくてはいけません。その許可を取らずに輸入しようとするために差し止められます」
そう話すのは、環境保全団体『WWFジャパン』野生生物グループの浅川陽子さん。1161頭は、あくまで税関が差し止めた数であり、“日本に入ってきた数”ではない。ここ最近、かわいいエキゾチックペットとして取り上げられる、手乗りサルとして紹介されることが多いショウガラゴなのだが……。
「SNSでフォロワーの多い有名なアカウントの影響で、ショウガラゴが飛ぶように売れていると聞いています。しかし、霊長類は、感染症を防ぐ目的でペット輸入が禁止されているので、タイから多数入ってきているショウガラゴは密輸です。
そうした密輸のショウガラゴを元手に繁殖させて売る業者がいるので、“国内繁殖”という言葉にだまされないでほしい。有名なアカウントのショウガラゴは、密輸でよく知られている関西の業者からの購入です」
そう話すのは、動物保護団体『PEACE』の東さちこ代表。前出の浅川さんも、
「事業者がペットを販売する際は、その個体の情報を掲示しなくてはなりません。そこに国内で繁殖されたと掲示されていたとしても、それが事実かどうかは確認することができません。消費者側は、その掲示が事実かどうか確かめることができません。国内繁殖と書かれていてもその実態はわかりません」
京都市動物園の主席研究員で、ショウガラゴと同じく小型のサルであるスローロリスの研究を行っている山梨裕美さんは、
「需要が高くなりますと、野生での捕獲が増えてしまうことにつながり、結果的に生息数が減少してしまう。それが希少種であれば大きなダメージを与えますし、希少種でなくても絶滅のおそれがある動物になってしまうことにもなりうるので、保全の観点からも大きな問題です」
飼育面の問題も。
「動物に合った環境をつくるのは、動物園でもすごく難しいことです。合った環境でないと動物のストレスにつながりうる。私たち動物園側でも常に最新の情報に合わせて、どうしたら快適なのかということを模索している部分もあります」(山梨さん)