目次
Page 1
ー いきなり届いた身に覚えのない督促状
Page 2
ー 夫の“潜伏先”には赤ん坊を抱えた女性
Page 3
ー 妻にも愛人にも嘘をつき通していた夫

 よりよいコミュニケーションが人間関係を円滑にすることを多くの人は熟知している。夫婦関係も然りだ。とはいえ、いつの間にか会話が減り、互いに関心が薄くなっていくことも。

 そんなとき、手軽に異性との出会いを手に入れられたら……。ある日突然、夫が蒸発し問題が浮上した夫婦。解決するべく調査依頼を受けた探偵が振り返る。

いきなり届いた身に覚えのない督促状

「その夫婦は40代前半の同い年で、子どもが4人いました。上は中学生、下は3歳。問題が発覚した当時、妻の麻沙美さん(仮名)は育児に追われる生活でした」

 夫の和正さん(仮名)は俳優の伊藤英明似のイケメンで、親から受け継いだ会社の2代目社長。4人目を出産した後の妻に対して「女として興味がなくなった」と言って憚ることがなかったという。妻側からすればひどい言葉だが、若いころのギャルの面影を残している麻沙美さんはあっけらかんとして、

「4人も産んで、たるみが増えたからでしょう。仕方がないですよ。だから“風俗オッケーよ。浮気してもその女と本気にならないでね”と浮気を許していたんです」

 それからセックスレス夫婦となったが、麻沙美さんは「夫婦ってこんなものよね」とあまり深く考えなかったという。

「ところがある日、麻沙美さんの携帯にカード会社から夫の借金の取り立ての電話があったんです。夫は妻を連帯保証人にして、複数のカード会社からトータル700万円以上の借金をしていました。それを知った麻沙美さんは驚いて、帰宅した和正さんを問い詰めると“10億円ぐらいの儲け話があるから、借金をしてそれに費やした。すぐに元が取れるから”と。その直後に夫が蒸発したんです」(前出・探偵)

 連絡が取れなくなった夫を心配した麻沙美さんは会社に電話をしたが、つながらない。そこで関係者に連絡をすると、倒産していたことがわかった。

「会社が倒産したことを私に黙っていたの……」

 ショックを隠せない麻沙美さん。追い打ちをかけるように、連帯保証人である妻の麻沙美さん宛てに借金の督促状が届く。気が動転したものの、子どもたちのために夫を捜すことを決意する。このタイミングで、男女間のトラブル解決に精通している探偵事務所に依頼。前出の探偵に夫の居場所を捜してもらうことにした。

「夫の和正さんは預貯金を全額は引き出していませんでした。遠方に逃げるときは全額引き出すことが多いため、近隣にいるのではないかとにらみ、和正さんの車の特徴を麻沙美さんから聞き取り、調査を始めました」(探偵、以下同)