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肌の「うるおい」「透明感」とは何か?どうして何種類も液体をつけるのか?――。
こうしたスキンケアの疑問に、独自の高級化粧品を研究・開発してきた尾池哲郎氏が新著『美容の科学』で科学の視点から答えています。
本稿では、同書より一部を抜粋しお届けします。
キメを支える膨張力
自然界では新鮮なフルーツの皮などにも整ったキメが見られますが、もっともよく目にするのは新しいシーツ、印刷用紙といった工業用品のキメです。工業用品は均質な原材料で高速に量産するため、均質性が現れやすくなります。
そのように考えていたとき、ふと、量産品なのにキメが整っていないものがあることに気が付きました。それは、おもちゃの風船です。店頭で買う風船は袋の中ではしぼんでいます。その表面はなんだかごわごわしていてキメが整っているとは言えません。しかし膨らませると、とたんに、きれいなキメの整った肌が現れます。これは購入時の風船がもっとも縮んだ状態であるため、均質性が見えにくくなっているからです。膨らませると、もともとの均質性が分かりやすくなります。