目次
Page 1
Page 2
Page 3
Page 4
「冬はひざの痛みを訴えて来院する患者さんが目立ちます。寒さによって血流が悪くなり、組織がこわばり、痛みにつながりやすいからです」
そう教えてくれたのは、柔道整復師などの資格を持つ高林孝光さん。ひざを温めて血流をよくすることも大切だが、痛みが起こってからの治療に注目してほしいと語る。
誤解や間違いだらけのひざ痛治療
「ひざに痛みがあるときは、まず安静と痛み止めと思っていませんか? これは間違いです! 実はひざが痛くても、運動を行うことが痛みの解消に大切なのです」(高林さん、以下同)
ひざ痛治療の常識と思われていた痛み止めと湿布、そして安静。これを続けていくと、逆に痛みが長引き、回復が遠のくというのだ。
「ひざ痛の原因の9割を占める病気は、変形性膝関節症です。ひざ関節の軟骨がすり減ることによって痛みや腫れを起こす病気です」
このようなひざ痛に国内ではどのような治療が行われているかというと、
「鎮痛剤と抗炎症薬、つまり痛み止めと湿布薬の処方です。しかし、このような方法は世界的にみても日本だけ。海外では運動療法が中心で多少の痛みがあっても、積極的に身体を動かすことで痛みを解消する方法を行っています」
湿布を貼って安静にし続けていると、ひざ周りの筋肉が萎縮して、痛みはますます激しくなるというのだ。
「軟骨には、酸素や栄養を運ぶ血管がありません。そこで軟骨は、関節全体を包んでいる関節包の中にある関節液から、栄養などを吸収しています。運動を行うことで、関節液の循環が促され、軟骨や周囲の筋肉のコンディションを整えてくれるので、運動が効果的なのです」
とはいえ、いきなり健康な人と同じ運動を行うのではなく、ひざの構造や痛みの原因を理解して、正しい運動をすることが重要だ。