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ー 「カット野菜」の内情
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ー メーカーも努力しているものの…

「農林水産省が1月21日に食品価格動向調査の結果を発表しまして、キャベツの1キロあたりの小売価格が全国平均で553円になりました。これは平年の3・37倍です」

 こう語るのは、農業ジャーナリストの松平尚也さん。昨年から野菜、特にキャベツの価格高騰がニュースになり、1玉1000円を超えたと報じられたこともあった。

「カット野菜」の内情

「キャベツに関しては、昨年の夏と秋が非常に暑くて、特に関東では12月に雨が全然降りませんでした。

 育ちが悪くて出荷が減ったことと、雨が降らないとキャベツが養分を吸収しないので、病気になったりとさまざまな問題が出てくるんです。なので、市場には小玉のものしか流通しませんでした」(松平さん、以下同)

 そこで注目されたのが「カット野菜」。せん切りにされたキャベツを袋詰めにして販売しているのだが、

「サラダ用で、せん切りにされたキャベツを買う人が増えています。でも、このカット野菜に加工するには大玉のキャベツが必要なんです」

 中心の芯をくり抜き、外葉を取って加工するのだが、この工程を機械で行っていて、機械に対応しているのが大玉なのだという。そこで増えているのが、輸入野菜だ。

「食品メーカーさんが加工業務用の代替として、主に中国の山東省から輸入しています。もともと、私たちが食べているのは99%が国産のキャベツで、これまでは足りないときに輸入する程度だったのですが、この1月は、平年の10倍近くの輸入量になっています。

 中国でも気温が上昇傾向で、価格は平年の5割高くらいだったのですが、もともとが国産の半値ほどなので、少しでも量を多く、大玉を安く仕入れようと輸入に頼っている状況です」