スポーツシーンでは、女性ファンの存在が大きな注目を集めている。プロ野球・広島カープを熱烈に盛り上げる「カープ女子」を筆頭に、大相撲を語りだすと止まらない「すー女」、Jリーグ・セレッソ大阪の力強い援軍「セレ女」……などなど。
ここにきて話題なのが、プロレス会場をヒートアップさせている女性ファンたち。彼女らは「プロレス女子=プ女子」と呼ばれ、プロレス人気復活の原動力とさえいわれている。
そして、プ女子たちから絶大な支持を得ているのが、新日本プロレスのエース・棚橋弘至だ。
その日、格闘技の聖地といわれる後楽園ホールは超満員。噂どおり、女性客の姿が目立つ。一眼レフを持った32歳のOLは声をうわずらせる。
「プロレス観戦は月に3、4回。都内や関東圏はもちろん、大阪や札幌にも遠征します」
41歳の主婦は7歳になる娘を連れている。「プロレスは、この子の幼稚園時代のママ友にすすめられたのがきっかけ」という彼女は、
「棚橋の大ファンです。彼は究極のマッチョなのに強いだけでなくやさしさがある。もちろん娘も応援しています」
そんな母の袖を娘が引いた。
「ママ、タナが来た!」
激しいエレキギターサウンドが流れ、会場中の視線がひとりのレスラーに集まった。アニメヒーローを連想させる逆三角形の筋肉ボディー。歩みを進めるたび、金メッシュの入ったロン毛が揺れ、ロングガウンの裾がたなびく。
彼がコーナーポストに駆け上がり、右手の人さし指と親指を天に向けると、悲鳴に近い声援が飛び交った。
棚橋は「100年にひとりの逸材」といわれている。ほかにもイケメンレスラー、太陽の天才児、愛の戦士、あるいはミスター・ナルシスト、チャラ男など数々の異名を持つ。彼は自分のレスリングスタイルをこう表現している。
「勝負をあきらめない。がむしゃら。泥くさい。対戦相手の技を食らっても、耐えて、耐えて、耐え抜く。ようやく最後に得意技を炸裂させたとき、僕がリングで光り輝くんです」