寒さが身にしみるこの時期は、腰痛が悪化しがち。
「冷えによって血流が滞り、筋肉が硬くなって痛くなるケースがほとんど。“ペットボトル温灸”で筋肉をゆるめれば、痛みは解消されるはずです」
と語るのは鍼灸師の若林理砂先生。
ペットボトル温灸とは、60~70度程度のお湯を入れたペットボトルをツボに当てるという、若林先生が考案した治療法。
「お灸より手軽だけど、同じ効果が得られることが実証ずみ。お灸でツボをピンポイントで狙い当てるのは初心者にはなかなか難しいですが、ペットボトルの底や側面なら肌への接触面が広いので、ツボをとらえやすいのです」
用意するのは、加熱対応の350ミリリットルのペットボトル。オレンジ色のキャップが目印だ。そこに100ミリリットルの水を入れ、さらに200ミリリットルの熱湯を加えると、理想的な温度のお湯となる。
「お灸は身体にあとが残るヤケドになる可能性もありますが、これぐらいの温度なら安心です。火を使わないので、お布団の中でもできるなどメリットがたくさんあります」
腰痛をやわらげるためのツボは、3か所だけ。詳しくは、イラストのメソッドを参考に。
「【メソッド2】でひざの裏に当てていますが、腰痛はひざの使い方も大きく影響します。街中で見ていると、ほとんどの女性は“反張膝”という状態で歩いています。ひざの裏がピンと張って伸びきると、ひざがコチコチに硬くなり、腰に衝撃がダイレクトに伝わり、大きく負担がかかります。ひざの裏を温めてゆるめることは、腰痛解消につながるのです」
やり方は以下のとおり。
「“熱い!”と思ったら、次のツボに移動してください。熱を感じれば、患部の冷えが解消され、血流がよくなっています。寒い時期は、このメソッドを毎日1回以上、行ってほしいですが、なかなか続かないものです。“腰がなんだか痛いな”“今日はたくさん動いたな”という日だけでもやってみてください。翌日の腰の調子が驚くほど違いますよ」
ただし、ギックリ腰など急性腰痛の場合、腰を直接温める【メソッド3】はNG。
「腰まわりの筋肉が切れている可能性があり、温めると痛みが増してしまいます。【メソッド2】と左右の脇腹を温めて、安静にしましょう」
また、このメソッドと合わせて行うと、より効果が高まる体操があると、若林先生。
「直立してひざを伸ばした状態で上半身を前に倒したとき、床に手がつきますか? つかなければ、股関節が硬く腰から“くの字”に曲がっている証拠! 股関節がゆるんでいないと、かがむ動作をすべて腰を曲げて行うため、腰に負担が集中してしまいます。両太ももの付け根に手を押し当てて、股関節から曲げる意識をもつ。私は“コマネチ体操”と呼んでいます(笑い)。毎朝コマネチするだけでも日常の動作で股関節を上手に使えるようになり、腰痛の緩和に。ペットボトル温灸と合わせて、行ってほしいですね」
※監修/若林理砂先生 ●老若男女から支持される鍼灸師で予約は数年待ち。メルマガなどで健康情報を配信。著書『安心のペットボトル温灸』(夜間飛行刊)
※イラスト/本山浩子