メーカーのバイヤー時代に200社以上を担当した実績を持ち、コスト削減や仕入れの専門家として活躍中の経済評論家・坂口孝則さん。情報番組『スッキリ!!』(日本テレビ系)のコメンテーターとしてもおなじみです。
坂口さんによると、欲しい商品をできるだけ安く手に入れるために、ぜひ知っておいてほしい方法があるそう。
「実は、商品の価格の統計をとってみると、商品ごとに安くなる時期があるのがわかります。例えば、家電の価格は時間がたつほど下がり続けることがわかっていますが、その中でも、新商品の販売時期などによって、電子レンジは5月に特に安くなるといった傾向があるのです。こういった底値になる時期を頭に入れておくと、高い時期に商品を買ってしまうことを避けられます」
というわけで3回に分けて、家電のほか、家具や自動車、食料品、衣料などの底値が狙える時期について教えてもらいました。
「私が“この商品は、この時期に買えば安くなる”と断言しているのは、統計をとったうえで、日本全国で下がることが予想できるものばかり。なぜその時期に安くなるのか理由をご説明しながら、個別の商品の価格が変動する時期を見ていきましょう」
まずは家電から――。「白物家電は半年、黒物家電は3か月待てば、価格はガクンと下がります」(坂口さん)
【エアコン】オフシーズンの10月、11月くらいが底値
エアコンは発売から半年以上たつと底値となります。新商品が出る春先が高く、シーズンオフの10月、11月くらいに底値となります。翌年用に10月、11月に買っておくのもよいでしょう。また、ヒーターは11月、12月が高く、2月、3月に安くなります。使用時期を考えれば当然ですが、需要が高まる時期をはずして買うのが賢明です。2001年以前のエアコンは消費電力が高く、電気代の節約のために買い替えるのもいいでしょう。
【冷蔵庫】11月までは下落傾向が続く
冷蔵庫の価格は11月までは下落が続きますが、12月に上昇するのが大きな特徴。年末年始の家族が集まりやすい時期に、「いい冷蔵庫に買い替えたい」と思う人が多いため、12月は価格が高くなるのです。そのため、安く買いたいなら11月が狙い目でしょう。また、2001年より古い冷蔵庫なら買い替えるのもおすすめです。2001年はリサイクル法の施行で省エネ規格の性能が上がっており、2001年以降の冷蔵庫は、それ以前に比べると電気代が節約できます。
【全自動洗濯機】年末に向けて価格が下がる
待っていれば大幅に価格が下がるのが洗濯機です。特に全自動洗濯機は年末にかけてどんどん価格が下がっています。そのため、買うなら年末がおすすめ。年末商戦で安くなっているものを選ぶといいでしょう。また、2000年以前の洗濯機は、それ以降のものと比べると、節水量に約2倍も差があります。2000年以前の洗濯機を使っている人は、性能や、エコ観点から買い替えを検討するのもおすすめです。さらに、大きな家電は「開封品」を狙う手も。買ったけれども、自宅に入らなかった、サイズが合わなかったなどの理由で未使用のまま返品されたものなので、品質は問題ありません。
【炊飯器】需要が高まる前の8月、9月が安い
世界一の機能といわれる日本の炊飯器は、中国人観光客の“爆買い”でも話題です。炊飯器は8月、9月が安くなっているのですが、これは暑い夏が終わり、食欲が出てくる少し前の時期。需要が高まる直前が安くなるのです。さらに、炊飯器は2005年以前のものと現在のものでは炊き上げ性能が違います。電気釜式からIH式に転換され始めたのが2005年なのです。また、炊飯器に限りませんが、店員さんに「オリジナルモデルはどれですか?」と聞いて買えば、機能は充実しているのに格安なものが手に入ります。メーカーとコラボした家電量販店のオリジナルモデルは、価格が安く設定されているのでおすすめです。
【電子レンジ】新商品が出る前の5月が買いだけど…
電子レンジは6月、7月に新商品が多く出るため、そのころから価格が上昇します。そのため買いドキの狙い目はズバリ5月。スチームオーブンレンジ、タッチパネル液晶など高機能な商品が増えていますが、「高機能すぎて使えない」という人も多いのが実情。「シンプルな機能だけで十分」という人なら、最新モデルが出る前に価格が下がっている型落ち製品を選ぶとよいでしょう。ただしオシャレなデザイン家電は値下がりしにくいので、買いたいと思ったときに買いましょう。
【テレビ】ずっと下がり続けるので待つ
4Kテレビが登場して、「いつ買えばいいの?」と気になっている人も多いでしょう。数年後には8Kテレビが発売される予定もあります。テレビの価格は発売されれば、時とともにずっと下がり続ける傾向があります。特に黒物家電は発売から3か月たつと、ガクンと価格が下がります。そのため欲しいものがあれば、しばらく待って買うのがおすすめ。買いたいときが買いドキとも言えるでしょう。ビデオデッキもテレビ同様に、発売後は下がり続ける商品です。
■目利き講座:家電は国内メーカーにこだわる必要はナシ
家電を買う際、「日本のメーカーのほうが性能がいいのでは」と思う人も多いですが、日本のメーカーでも、部品は東南アジアで作られています。そのため、海外のメーカーと日本のメーカーに性能の違いはあまりありませんが、日本製は耐久力が強く作られているのは確かです。とはいえ、その耐久力とはかなり使い続けた場合でも大丈夫というもので、通常の使い方をするなら、海外のメーカーのものでも耐久力に問題はありません。
※明日はPC・自動車・家具編です。
(ライター/紀和静 イラスト/ちんぱん)
〈プロフィール〉
坂口孝則(さかぐち・たかのり)●大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。著書は26冊に及び、テレビ番組でも活躍。