9月4日午後0時半ごろ、熊本県熊本市東区のラブホテルで子どもと彼氏の3人で宿泊していた20代の無職母親が110番通報。
「寝ていて起きたら、生後3か月の子どもが口から泡を吹いて固まっていて……」
母親の長男・西田悠真ちゃんはすぐに病院へ搬送されたが、約1時間後に死亡が確認された。覚せい剤による中毒死だった。
「フロントを通さず部屋から直接通報されたもんだから、こっちはなんもわからんとですよ。パトカーやら救急車が急に来て驚きました」(ラブホテルの関係者)
県警によると、熊本東署の署員が駆けつけたときには母親と子どもしかいなかった。
「なぜこうなったのか、わからない」(母親)
母親らは同日午前3時ごろチェックインし、彼氏の同県益城町に住むアルバイト・吉村天翔容疑者(24)も通報するまでは一緒にいたという。ふたりは数年前から交際していた。しかし、吉村容疑者は悠真ちゃんの実父ではない。
数日後、ふたりは路上に止めた車中で覚せい剤を加熱して吸引したとして、覚せい剤取締法違反(使用)容疑で逮捕された。熊本地裁は11月下旬、ふたりにそれぞれ、懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を下している。
そして─悠真ちゃんの百か日が迫った12月6日、県警は悠真ちゃん殺害と覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで吉村容疑者をまた逮捕した。
「物証? 被疑者との駆け引きもあるけん、いまは言えないが、確固たるものがあっとですよ」(熊本東署)
悠真ちゃんの体内からは覚せい剤の成分が検出され、母親が眠っている間に吉村容疑者が飲ませた疑いがある。どういうカップルなのか。
「未婚のシングルマザーで親元で暮らしている。容疑者を見たことはない。遊び相手じゃないか」(近所の主婦)
吉村容疑者はアルバイトをしながら町営団地で妹、叔父、叔母と暮らしていた。インターホン越しに取材を申し込むと、妹らしき若い女性が応答した。
「取材? ダメです。関係ないけん、帰ってください!」
近隣住民らによると、この部屋に引っ越してくる前は、別の町営団地で両親と妹、弟の5人で暮らしていた。
「父親は以前、暴力団関係者で覚せい剤をやったとですよ。それで母親と離婚。家庭も荒れて、一家は散りぢりバラバラになったとでしょう」(近所の住民)
一家の事情に詳しい男性によると、幼いころの容疑者は祖父になついていたという。
「おじいちゃん子で、小学生のときは野球で全国大会にも行ったとにねぇ」(同男性)
中学でも野球を続けた。しかし、高校生活でつまずく。
「地元の“木山ファミリー”という不良グループに入って、窃盗、交通事故などを繰り返して高校を中退。悪いほうへ流れていった」(社会部記者)
地元関係者が言う。
「彼は16歳ぐらいで、子どもをつくったとですよ。相手の女性がまだ中学生ぐらいのとき。結婚して、また下に子どもが2人できた。連れ子が3人いるとか言われているけど全部、本物の子どもたい」
若くして一家の大黒柱になった容疑者は20歳のころ、父親が勤める建設会社でアルバイトに汗を流した。勤務先の社長は「父子ともハイ、ハイと仕事をまじめにやっとった」と話す。
しかし、約3年前に離婚した。なぜ自分の子どもではない乳児に覚せい剤を投与したのか。吉村容疑者は「死んだ経緯については知らない」などと話しているという。
<フリーライター山嵜信明と週刊女性取材班>