もうすぐ折り返しの大河ドラマ『真田丸』。もっと楽しむための見どころを、屋敷陽太郎チーフプロデューサーに聞いてみた。
【マニアも驚きの時代考証】
「今回は大谷吉継を刑部、石田三成(山本耕史)を治部や治部少輔と、あえて難しい言い方をしています。この流れでこの先、徳川家康(内野聖陽)を内府と呼ぶようになります。
歴史好きの方ならこの呼び方はご存じだと思いますが、当時は“ないふ”と発音していなかったそうです。なので、家康は“だいふ”になります。言葉の語尾についての史料はありませんが、単語は一言一句、考証して、面白い話があれば使っています。マニアックでしょ?(笑)」
【“ブラック小日向”見参】
脚本の三谷は、小日向のキャラクターを"ホワイトこひさん""ブラックこひさん"と分けて呼んでいるそう。
「それでしたら、今回の小日向さんは完全に“ブラックこひさん”(笑)。笑顔だけど、目は笑っていない、という秀吉ですが、撮影の合間はめちゃくちゃ明るくて、よく共演者とワイドショーのネタを話しています(笑)。それでも出番のときにスタジオに入ると“ブラック”になる、あの役に対する集中力はすごいです」
【信繁は何回結婚する?】
「最初の妻・梅(黒木華)と死別した信繁ですが、大谷刑部の娘・春(松岡茉優)を正室として迎えます。彼の結婚相手としては、この2人ですが、他にもいたという説があります。
豊臣秀次(新納慎也)が失脚し、妻子も殺される中、その娘と結婚したというものです。ドラマでは、たかという女性で、岸井ゆきのさんが演じます。その後、きりと最終的にどうなるかお楽しみに」
【真田丸の“春夏秋冬”】
「堺さんは信繁の一生を、春夏秋冬にたとえています。信濃で過ごした、好奇心旺盛な少年期を“春”。天下の動きを身近に感じながら、権力に溺れていく秀吉に翻弄される“夏”。九度山で蟄居させられる“秋”、そして、大坂の陣で華々しく散る“冬”。
今撮影しているのは“夏”の終わりです。豊臣と徳川の権力争いに巻き込まれた真田親子3人の決断と、昌幸、秀吉に続いて信繁の前に立ちはだかる、家康の存在感を楽しみにしてください」
現在おこう役で話題沸騰中の長野里美に話を聞いた。 「三谷さんからは、志村けんさんの“もしも元気のない芸者がいたら”というコントを参考に”と言われました(笑)」
“ゴホゴホ”と咳き込み、ご飯もうまくよそえない。病弱アピールがうざい。けど気になってしまう、という信幸の妻・おこう。彼女を演じるのは劇団『第三舞台』で人気を博し、“小劇場の女王”とも呼ばれた長野里美。印象に残っているシーンを聞いてみた。
「信繁さんの祝言で踊った雁金踊りも印象的ですが、やっぱり離縁したあと、すぐに侍女として信幸さんのもとに戻ってきたこと(5月22日放送)。不死鳥みたいですね(笑)」
荒唐無稽な復活に興奮したと笑う長野。 「面倒くさい人だとは思いますが、おこうは人一倍、真田家の役に立ちたいと思っているんです。私が信幸なら、“なんだこの女”と思うこともありますけど(笑)」