京菓子の文化を守るべく走り続ける
現在、依頼される講演は年間80本以上。雑誌連載に、フジテレビの情報番組『グッディ!』のコメンテーターも務めるなど活躍の幅がますます広がる田丸さん。3人目の娘も高校生になり、子育てからも解放されつつある。16年来のママ友の近藤万紀子さんは、こんなユニークな面を披露してくれた。
「衣食住の『衣』『住』にここまで興味がない人を、私はほかに知りません。『衣』に関しては、着物以外は、洋服もバッグも靴もアクセサリーもなにもかもご主人のコーディネート。『住』についても、家を建てるとき、『インテリアにはまったく興味がないから』とキッチンも含めて100%、ご主人に丸投げしていました」
23年間走り続けてきた田丸さんだが、近藤さんの言葉を借りれば、「年々忙しくなるのに、しんどい、時間がないなどの言葉は一切言わず、以前と変わらず学校行事や茶話会、料理教室にも参加してくれます。どんどんパワフルになっています」
これから先も、お店のため、ひいては京菓子文化を守るため、働き続けたいと言う田丸さん。
「数百年にわたって受け継がれてきた京菓子文化は、日本の宝だと思うのです。だからそれを支える和菓子職人の技術力の高さにもっとスポットを当て、職人の存在価値を底上げしたいですね。それから、いつか、販売する人を育てるような学校が作れたらいいなと思っています。真のお客様サービスとは何か、きちんと教えられるような場を提供したいのです」
女将という“天職”を通して、田丸さんの快進撃は続く。
取材・文/三浦たまみ
みうらたまみ 編集者/ライター。構成などを担当した本、本島彩帆里『やせる ♯ほめぐせ』(ワニブックス)が好評発売中! 心屋仁之助『ネコになってしまえばいい』(5万部)『ゲスな女が、愛される。』(8万部、ともに廣済堂出版)。今秋、共著『日本10大美術館』(大和書房)が発売!