終わってみれば、ひときわ感動させられた大相撲9月場所(9月10日~24日開催)。
始まる前から3横綱が休場。序盤に大関・高安と人気の宇良も休場になって大相撲危機が囁かれ、私が国技館に足を運んだ5日目には横綱・日馬富士が3連敗目を喫した。
そりゃ若手の阿武咲(おうのしょう)や朝乃山らの活躍もあったが、この時点で正直、日馬富士は引退? みんなケガばかりで相撲界はどうなっちゃうの? って暗澹(あんたん)たる気持ちになっていた。
自信を取り戻したアスリートはセクシー
国技館の帰り道、スー女な友人らと暗い顔を突き合わせて「どうなっちゃうの? もう相撲は終わりなの?」とぼそぼそ話した。口では「相撲界は大丈夫よ」と言いながら、私は相撲を信じられないでいた。さらに6日目からは大関・照ノ富士も休場し、気持ちはさらに塞いだ。
ところが!
日馬富士は10日目に4敗目を喫したものの、それ以外は白星を重ねた。勝ったあとにチラっと上を見るようなその表情、視線に、自信を取り戻してきたのかな? と感じた。こんなこと言ったらまた怒られるかな? でも、自信を取り戻したアスリートってすごくセクシーだ。日馬富士のその表情に、私はテレビの前でゾクゾクっとしていた。
日馬富士は今場所、1人だけの横綱で土俵を務める重責を背負わされ、普通なら休場となるような「横綱として3連敗」を喫しながらも休むことも許されず、毎日ひたすら相撲を取り、もちろん横綱として勝つことが責務。
今だかつてない――だってそういう重責はこれまでいつも横綱・白鵬が背負ってくれていたから――プレッシャーが、逆に日馬富士をこれまでの2倍も、3倍も大きくしているんじゃないか? テレビの前に座りながら、そうも感じ始めた。
同時に大関の豪栄道が頑張り、ベテランの嘉風や松鳳山らが流血し、目を腫らし、文字通り身体を張って相撲を取り、その荒々しい姿にはテレビの前でジタバタするほど激しく興奮させられた。