美術さんはつらいよ
お店を借り切ってのロケでは、店舗の内装もすべて作品の世界観に合ったものに取り替えて撮影が始まる。
「居酒屋を借りきったドラマロケの際、もともと店舗の壁一面に貼ってあったメニューを剥がし、作ったものと貼り替えました。撮影後に元どおりに戻すのが大変でしたね」(美術スタッフ)
時代考証も意識しなくてはならないのだが、
「江戸時代で“うどん かけ一◯文”という文字が書いてある看板を作っていたのですが当時は“◯”という文字がなかったため、作り直さなくてはならなかったこともあったそう」(前出・美術スタッフ)
時系列で大パニック
ドラマや映画などのストーリーがあるものでは、日付や時間帯の整合性も、つじつまが合わなくてはならない。大人気ドラマ『カルテット』(TBS系)では、とある事件が起こっていた。
「第6話で松田龍平さん演じる別府が倉庫に閉じ込められた際、携帯電話の日付が2月6日午後10時過ぎでした。助けを呼ぼうと高橋一生さんが演じる家森に電話をかけたのですが、彼は昼の森にいたんです。
ほかにもポスターの日付やパソコンの日付が1話からの時系列順になっておらず、ファンの間では“逆再生では?”などの仮説がSNSで拡散。騒ぎを聞いたプロデューサーが、ドラマ放送期間中に不備だった旨をSNS上で謝罪しました」(テレビ誌ライター)
撮影順序によっては、1話から順番に撮影しない可能性もあるため、時間軸には細心の注意が必要なのだ。
撮影時間より長い会議
バラエティー番組の外ロケの際は、外でロケをする時間以上に打ち合わせの時間が多く設けられるという。
「『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)では、ロケに行く前にゲストとの打ち合わせが2~3時間みっちり行われています。この際、櫻井翔さんと有吉弘行さん、スタッフが“最近なにが面白いか”“なにに興味があるか”を話し合いながら企画を作るそう。
櫻井さんや有吉さんがゲストに“なにが面白い?”と聞くことも。スタジオ撮影よりもやり直しがしにくいし、素人さんも絡むことがあるので、事前の打ち合わせが大事なんです」(バラエティーAD)
招かれざる“お客さん”
前出のように、バラエティー番組や情報番組には、ゲストが登場することがしばしば。
「役者が出ることで話題になるのでありがたいのですが、レギュラー出演者よりも融通がきかないことも。役者さんとの打ち合わせでは“それはできませんよ”と言われてしまうことが多いんです。外ロケで街の人と話す場面では全部レギュラー任せにしたり、食ロケでは体重維持のためか全然食べなかったり。番宣時にしか話さない置物状態になっている人もちらほら。木村佳乃さんや土屋太鳳さんは一生懸命やってくれるので、とても評判がいいんです」(テレビ局関係者)
読めない撮れ高
どのような番組にするかなど、綿密に打ち合わせていても予想外のトラブルが起こってしまうのがロケ。スケジュールの都合で時間が限られているため、欲しい画(え)や満足な画が撮れないこともある。
「とある番組のロケでは、山本美月さんが表参道で“絶頂睡眠を提供するヘッドスパ”を体験しにいきました。“彼女が寝ている画が欲しい!”という趣旨の撮影だったのですが、ロケの際は周りがうるさくて、快眠どころかなかなか眠れなかったんです。そのため、オンエアでは残念ながらカットされてしまいました」(バラエティー制作スタッフ)