きょうだいは血肉、全員が身体の一部

フィンガー5・晃 撮影/齋藤周造
フィンガー5・晃 撮影/齋藤周造
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 フィンガー5解散後、彼らはそれぞれの道を歩き始めた。

 晃は、あれほどケンカをしていた一夫の不動産業を手伝うことに。そして、きょうだいの絆の強さを感じる事件が起きた。

「兄貴が、仕事に出てこない。身体の丈夫な人だけど、なんか気になって家に駆けつけたら、倒れていたんです。ろれつの回らない口で、“大丈夫だから”なんて言ってるから“俺の言うことを聞け”って、ケンカ以外で、兄貴を怒鳴りつけたのは初めてだったんじゃないかな

 脳内出血だった。病院に運び込むと、すぐに手術が行われ、一命を取り留めた。

「手術中に、きょうだいに電話をしたら、すぐ全員駆けつけてね。普段はほとんど行き来していないけど、こういうときに駆けつけるのがきょうだいなんだって」

 障がい者になった一夫は、みずからの体験からバリアフリー社会の実現を目指して参議院選挙に立候補するのだが……。

「選挙運動をやったのは僕ですからね。選挙カーに乗り、全国を回りましたよ。どうしてなのかなあ、ケンカしても、腹を立てても、いつも兄貴のために何か手伝ってるんだよね(笑)

 ぶっ殺したいほど大嫌いで、でも大好きでもある複雑な思いを晃はこう語っている。

「兄貴に押さえつけられて反発しながら、僕も頑張ったし努力もしました。気がついたら、僕がここまでやってこれたのは兄貴のおかげだってわかる。“晃、無理しなくてもいいから”という兄貴だったら、僕も“うん、無理しないよ”と流されただろうな」

 最後にきょうだいとは? と尋ねてみた。

「血肉っていうか僕の身体の一部だよね。手や足がないと困るでしょう。それと同じなんですよ、きょうだいは」

<プロフィール>
晃(あきら)/ミュージシャン。1961年生まれ、沖縄県出身。フィンガー5のメインボーカルとして『恋のダイヤル6700』『学園天国』などの大ヒットを飛ばす。現在も活躍中。
https://ameblo.jp/t-akira5/