きちんと伝え合い家族でハッピー!
現在、娘夫婦も河村さんの思いを快く受け止め、一家の孫育ては良好だ。
例えば、娘の夫は出張が多いが、河村さんはルールどおり事前に予定を把握して、出張中の夜は在宅するように調整している。
出張が8日間続き、毎晩、孫たちの入浴を手伝ったとき、河村さんは娘の夫が帰宅して早々、「すっごく大変だった」とキッパリ言った。娘も「何百回も“私が大変なことを彼は知っているかしら”と言っていたよ」と河村さんを援護。
すると娘の夫は、「十分に感謝しています」と笑ったそうだ。
「それを聞いて、私もスッキリして終わりです。可愛い子や孫にかかわることですから、楽しく話題にしたいですね。でも、言うことはハッキリ言うのが私のやり方(笑)。深刻な話し方をしたら、お互いイヤな気持ちになってしまいます。
そして、思ったことは早めに伝え合うことが大事。先に延ばせば、どんどん伝えにくくなります。ルール作りもそのためのもの。ルールの内容はそれぞれの家族によって変わります。
私たちの気持ちや体調を子どもの世代に察してもらうことはムリだし、子どもたちを取り巻く環境を、私たちの世代が察することも難しいですから」
祖父母はいつまでも元気で、孫の面倒を見るのが喜び──。そんな社会全体の思い込みが、シニア世代の実像とズレているのでは? と河村さんは指摘する。
晩婚化が進み、女性の平均出産年齢は上昇傾向にある。となれば、孫ができたころには祖父母もおのずと高齢になり、日々の孫育ては心身にかかる負担が大きい。また最近は、働くシニアが増えており、孫の世話を焼く時間が取れないケースも目立つ。
河村さんが、孫をもつ同世代の女性たちを集めて座談会を開いたところ、それぞれが孫育てに費やす体力、支出、時間などに対する不満をこぼしていたとか。
「もちろん、生活のすべてを孫に捧げる暮らしを幸せに思う人は、それはそれで素晴らしいこと。でも、そうではない人、負担に感じている人の声も、広く社会に届いていいのでは。“老い”とはどういうことか、子どもや孫に伝えるのもまた、私たちの役目です」
家族みんなが幸せを感じるためには、孫への「愛」という言葉でごまかさないで、必要なことをきちんと伝え、理解し合うことがなにより重要といえそうだ。