「アドリブトークで、語尾を最後まで言い切ることができる」
これも現場スタッフだからわかる川田さんの長所の一つだ。
アナウンサーは喋りのプロである。だから当然、台本に書いてあるセリフはしっかり喋ることができる。しかし、台本にないアドリブのトークになると途端に弱くなる。よくあるのが、話し始めははっきりしているが、語尾がヘニャヘニャとなってしまうケースだ。途中で自分の話に自信がなくなってしまうのかもしれない。こうなるとどんなに面白い話でも、その面白さが半減してしまう。この失敗、女性アナウンサーには多いのだが、川田さんにはない。最後までビシっと言い切って終わる。
こうしたトークの腕はやはり『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系 毎週月〜金 午後1時55分)で鍛えられたものだろう。
それにしても不思議なのは、運動神経はあんな悪いのに、トークの反射神経は抜群というギャップ。まさに「この差って何ですか?」と言いたくなる。
今回、この原稿を書くにあたって、番組プロデューサーに「川田さんのいいなぁと思うところはどこか?」と尋ねたら、こんな答えが帰って返ってきた。
「女子アナなのに、昭和っぽい」
「女子アナなのに、普通に電車に乗ってるっぽい」
またしてもギャップだ。
この豊富なギャップこそが、川田さんの魅力の源なのだろう。
川田裕美さんには「女子アナなのに…大賞」を勝手に差し上げ、勝手に表彰します。
しかしこれで今年、「プロ野球選手と電撃入籍」なんてことになったら……あ、それもギャップか!
<プロフィール>
山名宏和(やまな・ひろかず)
古舘プロジェクト所属。『行列のできる法律相談所』『ダウンタウンDX』『世界何だコレ!?ミステリー』といったバラエティー番組から、『ガイアの夜明け』『未来世紀ジパング』といった経済番組まで、よく言えば幅広く、よく言わなければ節操なく、放送作家として活動中。