「コラーゲン効果アリ」派の論拠は「ペプチド試験」
一方、いやいやいや、それはちょっと古い情報じゃないですか!今時のコラーゲンは違いますよ、頑張ってますから、と訴えるのが、生活がかかった業界筋。
コラーゲンは小さく小さくバラバラに分解されてペプチドと呼ばれるのですが、ペプチドはけっこう長い間、血中に残るんだぞ、と主張します。
そして某細胞が、血中に漂うバラバラ・コラーゲンを見て、こいつぁコラーゲンの危機かもしれんと補充に勤しむというのが、彼らの拠り所です。
重ねて2009年、2014年のコラーゲンペプチド試験では、ズバリ効果があったんだと威張るのです。
しかし、ここで食べ無駄派の待った!が入ります。
いやいやいや、効果があったと言ってもあれじゃないですか、その試験のコラーゲンペプチドは、コラーゲンに熱を加えて、ゼラチンにしちゃってるじゃないですか。しかも酸素で分解までして、もはや別物じゃないですか!
替え玉試験みたいなもんでしょう、それ!と叫びます。まだまだ熱い論争が続きそうな「変身コラーゲン」論争、この先が楽しみです。
「角質層の奥まで届く」はムダ? 「届かないぞコラーゲン」論争
次に、美容界を揺るがす大論争「届かないぞコラーゲン」。生活がかかったポジショントークの宣伝は、「角質層の奥まで届く」です。
角質層の奥まで届くんならそれでいいじゃないかって気がしますが、「角質層じゃ意味ないじゃん派」によると「コラーゲンは角質層ではなくて、真皮にいるのですよ(ウフフ)」となります。
例えるなら、角質層は家の門。
コラーゲンが鎮座する部屋に行くには、顆粒層と呼ばれる部屋を通り、さらに有棘層の間を突き抜け、やっと基底層なる奥座敷にたどり着きますが、そことて目的地ではありません。
その奥にある真皮こそが、コラーゲンのお部屋なのです。実に遠い。しかもですね、皮膚には異物が入らないように天然のバリア機能があります。
どこの馬の骨だかわからない素性知れずのコラーゲンをすんなり受け入れるほど、人体の神秘は甘くはありません。
門前払いを受けたコラーゲンは、皮膚の上でテカってるだけじゃないかと思われるわけです。
それでもいいじゃんか、っていうのが角質層派です。じゃあ、角質層で威張るなよってことです。
コラーゲンより効くのは「カバーゲン」か「ロバーゲン」!?
オカバンゴデルタの我が家は、メインロッジから150メートルも離れていて、夜間は単独歩行禁止です。
見飽きるほど猛獣がいるわけですから、襲われないのが不思議なくらいで、このデンジャラス感がボクらの緩んだ肌に適度な緊張を与えてくれます。
コラーゲン要らずですが、夜、カバを目撃して脂汗が吹き出ました。カバはライオンより強く、時速40kmで走るので、陸上界では象に次いで武闘派です。ガンを飛ばしたら、容赦なく殺されます。
それがすぐ目の前、ベランダの下。頑張れば握手できそうな近距離。カバの肌は猛獣の牙が食い込まないほど厚く、約4cm。しかし刃物には強いものの、動物界きっての敏感肌です。
陽灼けを避けるために、たいして泳ぎも得意でもないのに、日中は水の中にいるのですから。眼下のカバ、オレンジ色にテカってました。
カバは汗腺がないので、皮膚から赤い粘液を出して、乾燥や紫外線から身を守っているのです。
もしかしら、コラーゲンよりカバの粘液のほうが、美肌にいいかもしれません。美容界からの新商品、「カバーゲン」を待ちたいものです。
ちなみに中国には、2500年前もから阿膠(あきょう)という漢方薬があります。ロバの皮を使ったコラーゲンで、ミネラルに富み、コンドロイチンも含んでいます。
そうとう効用があるらしく、中国はアフリカでロバの爆買いをしてブルキナファソやニジェールで輸出禁止を食らっています。「ロバーゲン」も効きそうです!
フンコロガシを眺めながら、ボツワナからお送りしました。
石澤義裕(いしざわ・よしひろ)◎デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。