まだ、30代のお嬢様たち! 若くて将来が見えないみなさん! 70歳で自分の性格がわかったわたしからのアドバイスでは役に立たないかもしれないが、聞いてください。
あなたは、本当の本当は臆病ですか? それとも深く考えずに飛び込める勇気のある方ですか? 自分の性格を見極めると、後の人生が生きやすい。
「いずれ結婚するかもしれないけど、今はまだ……」と、今はあいまいでもいいが、35歳を過ぎたら、一度立ち止まり、考えてみるのは賢明なことではないだろうか。
間違えないでほしいのだが、臆病で結婚に踏み出せなかったことを後悔しているのではない。それがわたし。今、臆病=ひとりの方程式を発見した喜びのほうが大きい。やっぱりどこかおかしいかもしれないが。
心臓に毛の生えているわたしだと思っていたのに、本当は、チキンハートだったなんて、口が裂けても人には言えないが、今のわたしの心境は、オリンピックで4回転を失敗したフィギュアスケート・宇野昌磨くんの「笑いがこみ上げてきました」のあのすがすがしい心境だ。
結婚して新しい家族をつくり、喜怒哀楽の人生を生きるか。それとも、ひとりで気楽に生きるか。それは自分が決めることで誰が決めることでもないが、自分がどっちに向いているかは、この自分が一番よく知っているはずなので、その気持ちに従うのがいいように思う。
結婚してもしなくても、子供がいてもいなくても、自然にお任せでいても、どの道を選んで進んでも、人間は、孤独からは逃げられないのだから同じ、といえる。しかし、30代で達観してしまったら出家するしかなくなるので、今は、鳴門のうずの中でぐるぐる回っていていいと思う。がんばってね。
<プロフィール>
松原惇子(まつばら・じゅんこ)
1947年、埼玉県生まれ。昭和女子大学卒業後、ニューヨーク市立クイーンズカレッジ大学院にてカウンセリングで修士課程修了。39歳のとき『女が家を買うとき』(文藝春秋)で作家デビュー。3作目の『クロワッサン症候群』はベストセラーとなり流行語に。一貫して「女性ひとりの生き方」をテーマに執筆、講演活動を行っている。NPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク代表理事。著書に『「ひとりの老後」はこわくない』(PHP文庫)、『老後ひとりぼっち』(SB新書)など多数。