2つめの特徴は、依存する女性ほど、言葉を欲しがること。
このドラマには、「認める」「受け入れる」「理解する」と言った言葉が多用されます。確かに、誰もが他人には認めてもらいたいものですが、依存型女子の特徴は、証拠(言葉)がなければ、納得できないことなのです。今日子がエサを求める犬のように星名の要求をのんでしまうのは、星名は時折、ご褒美の言葉をくれるからでしょう。
しかし、今日子には認め合う人間関係を作る能力が、すでにあるのです。今日子は先輩デザイナーの八木泉(鈴木紗理奈)と組んで、新ブランド設立のためのプレゼンテーションを勝ち抜きました。口の悪い泉は「認めている」といった意味合いの言葉をかけませんが、自分の仕事をきちんとする今日子を信頼していることが感じられます。相手に対する気持ちは、言葉よりも行動に如実に表れるものなのです。
3つめの特徴は、依存型女子ほど、理由を説明しないこと。
吉崎からもらったネックレスを星名に切られてしまったなど、何らかのハプニングが起きても、今日子は決して自分の口から理由を説明しません。吉崎を怒らせたり、嫌われるのが怖いのでしょうが、その中に「何も言わなくても、自分のことをわかってほしい。何があっても許してほしい」という依存心も潜んでいるのではないでしょうか。今日子が話さないことには、理解することも許すこともできないのですが、依存型女子には極度に怖がりな部分と、図々しさが同居しているように思います。
星名と今日子は共依存の関係
星名も今日子と同様、母親との問題を抱えています。星名が父親から暴力を振るわれているのに、見て見ぬふりをした母親。母親に見捨てられた経験のせいか、星名は自分から決して逃げない女性を求めていて、それが今日子だったわけです。二人は共依存の関係と言えるでしょう。
今日子の嫉妬心をあおるために、星名が口説いた今日子の同僚の飯田彩香(石橋杏奈)も、実は依存的な思考の持ち主です。星名の心が自分から離れていると知ると、叔父の経営する紡績工場を利用して、星名の関心をひこうとします。
「あなたの役に立ちたい」という彩香の言葉は、本心でしょう。日本は女性の献身をよしとする風潮があるので、「愛情深い女性だ」と褒められるかもしれません。しかし、相手に何か与えなければ自分の存在意義を見出せないのなら、それもまた依存なのではないでしょうか。現実世界には、今日子型ではなく、彩香型の依存女子が多いように私は感じます。
ドラマも最終回まで、あと数回。キーパーソンとも言える星名の母親・郁美(岡江久美子)が登場し、彩香が郁美に接近するなど、先が読めない展開となってきました。ストーリーを楽しむとともに、ドラマにちりばめられた依存の“芽”を探してみるのも、楽しいかもしれません。
(文/仁科友里)
<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。近刊は、男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。