進化するほど心配な声も
画像認識できるようになったこと、つまり機械が“目”を持ったことが、いまのAIと呼ばれる技術の核心だと指摘する。
画像認識技術を応用することで、例えばエックス線撮影からがん細胞を見つけることが可能に。周囲の環境を認識して走行する自動運転も、かなり研究が進んできている。
この技術を生かした“AI農業”にも注目が。作物の生育状況を判断して、等級の選別もできるシステムの開発が進む。
他分野でも、産業廃棄物の仕分けや自動車工場での部品の組み立てといった単純作業に関しては、人間よりも正確で効率的といわれている。
「身近な例では、料理の写真を撮った瞬間にどんな食材が使われているのかを判断して、カロリーを計算してくれるアプリも開発されています。さらに研究が進めば、“2か月で2キロ減量したい”という目標に合わせてカロリーを計算して、レシピを推奨してくれるようなサービスも生まれてくるのではないでしょうか」(山田教授)
もしこれが実現すれば、ダイエットに苦しむ女性たちの悩みがひとつ減ることだろう。
AIの進化でさまざまな技術が可能になる反面、それに脅威を覚える人も少なくない。2015年に、大手シンクタンク『野村総合研究所』が発表した試算データは衝撃を与えた。601種の仕事を検証した結果、10~20年後には、日本の労働人口の49%が人工知能やロボットなどで代替可能になるというのだ。
「人が目で確認していた検品作業や空港のセキュリティーチェック。スーパーやコンビニなどの店員、ビルの清掃や受付なども機械が行ってくれるようになるでしょう。また、パソコンを使った簡単な事務作業、会議の議事録の作成なども自動でできるようになると思います。建設業界では、溶接などの危険な作業も人が行わなくてよくなるでしょう」
と山田教授は予測する。