目指すは世界水準

 前述したとおり、関西国際空港を利用して来日する外国人観光客の増加により、デパートのインバウンド売り上げはとりわけ大阪で好調だ。

 関西を代表する老舗『阪急百貨店うめだ本店』も爆買いが話題となった2015年以降、化粧品など免税品の売り上げが上昇。現在は全体売り上げの10%以上を占めるように。

 販売促進部の山元秀行さんは、「外国人の方への売り上げは16か月連続で増えていて、今後も需要は高まると思います。

 そのため“世界水準のデスティネーションストア”、つまり、世界中の人が阪急うめだ本店を目的に来日するような売り場づくりを目指しています」と言う。

 それに先駆けて、’12 年に建て替え工事を終え、グランドオープンした。

「コンセプトは“暮らしの劇場”。全売り場面積8万平方メートルのうちの20%を販売ではなく情報発信やイベントスペースとして使い、商品価値を紹介していこうという考えです」(山元さん)

 その象徴が、9階の『祝祭広場』。ここは12階までの4フロア吹き抜けという、とても開放的な空間となっていて、1~2週間ごとにさまざまな催しを開催している。

2017年に50回を迎えた英国フェア。ロンドンのバッキンガム宮殿をイメージした祝祭広場では連日、さまざまなイベントを開催
2017年に50回を迎えた英国フェア。ロンドンのバッキンガム宮殿をイメージした祝祭広場では連日、さまざまなイベントを開催
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 なかでも人気なのが、今年で51回目を迎える英国フェアをはじめとした“海外フェア”だ。マーケティング1部の桑原渉さんによると、海外催事を成功させる秘訣は、単なる“物産展”にとどまらないことだと話す。

「すでに日本にある店舗を集めるのではなく、日本初上陸のお店など、現地から職人など何十人も人を呼び、作り手のこだわりや思いをダイレクトにお伝えする。

 それによって、新たなものの価値を知っていただいたり、現地の雰囲気を肌で感じていただくことが大切だと考えています